その時間を有効活用している代表格が日本ハムだ。

 日本ハムは試合でのパフォーマンス、練習での立ち居振る舞いなどを見てスカウティング活動を重ねているが、その最後の確認作業として、この「面談」がある。基本的には担当スカウトが実施するが、選手によってはスカウト部長が直接出向いて、最終確認をする時もある。

 日本ハムの過去のドラフト実績を見れば分かるが、上位指名で超大物選手を獲得する一方で、野球以外の面で評判のよくなかった選手を躊躇なく指名して一流に育てあげている。

 そこには、面談を有効活用できているという背景がある。スカウト部長の大渕隆氏がこう話していた。

「例えば選手の悪い部分は、そこだけを見てしまうと悪く見えるだけです。でも角度を変えて見ると、その足りない部分はむしろ伸びしろへと転化できるものだというのが見えてくる。面談でそれを確認するんです。そこが他球団と差別化できている要素だと思います。外から見ているプレーの姿と、実際に話して『やっぱり、そうだったんだ』と答え合わせができるのが大きいですね。選手とやりとりをしていきながら、本当の壁にぶち当たった時に乗り越えられる選手であるかどうかを判断する材料にするんです」

 しかし、清宮と行う今回の面談は日本ハムが通常実施しているものとは毛色が違う。

 どのようなビジョンを描いているか、各球団のプレゼンテーションなるものを清宮が聞きたいというものになるだろう。いわば、主導権は清宮側にあると言えるかもしれない。

 ただ、「プロ・アマ規定」というルールが存在しているために、この時期にしか接触できない両者がお互いを深く知る手段として、この機会を逃さない手はない。どの球団に入ることになっても、重要なのは互いの関係性を深めていくことだ。

 面談を通して、球団は清宮に何を訴えるのか。本人が何を感じるのか。そして、清宮の応対を通してどう育てていくかを考える、その一つの判断材料となる貴重な時間になり得るはずである。(文・氏原英明)