泉:具体的にプランニングするため考えるべきポイントは二つ。一つは、売り上げ予測。ビジネスモデルの特徴を理解した上で、マーケットに合わせた視点で価格を設定し、売り上げの計画を立てていくということですね。もう一つは、投資額の決定。旅行者を泊めるための設備投資を、リターンとのバランスで考えていくこと。カギを替える程度の10万円未満の投資でいいのか、バスルームを新設するような300万円くらいの投資までやるべきなのか。それは、目指す稼働ペースやそれによって見込める売り上げと組み合わせて考えていくと失敗がありません。今日はこの二つの軸でお話をしていきましょう。

相談者(夫・妻):お願いします!

●「すごい」「近い」「安い」

泉:では、まず運用面から整理します。「シェアリングエコノミー」という言葉は聞いたことがあると思いますが、民泊はまさにこの最たるものですね。オーナーが使用しない時間に空いたスペースでお金を生み出す。もともと持っているものの余剰を使うだけなので、原価はほとんどかかりません。しかも、収益は成功報酬型で、集客を代行してくれるAirbnbといった仲介業者に支払うコストも、売り上げが発生する都度でいい。つまり、とってもやりやすく、根本的にうまくいきやすいビジネスモデルなんです。例えばお店を開いて商売を始めようとすると、お店を構えるための初期コストも、開店してからの集客コストもかなりかかってきますが、民泊の場合はほぼゼロ。非常にリスクが低くて、成功しやすいモデルなんですね。

相談者(夫):言われてみればたしかにそうですね。

泉:一方で、それがゆえのデメリットもあって、参入障壁が異常に低いからライバ
ルも多い。スペースがあれば誰でも今日から始められる。だからこそ、差別化が重
要です。

相談者(妻):差別化。他にはない魅力を出していくということですね。

泉:そうです。今回のビジネスでいうと、差別化のポイントは三つです。ハード、つまり家自体の魅力、立地、価格。「すごい」「近い」「安い」と思わせられるかどうかです。では、長野と東京の家それぞれで見ていきましょう。長野のほうは、家自体は希少性が高くて◎でしょう。ただし、アクセスはいいとは言えないので立地は×。価格設定はこれからですね。東京のほうは家自体は普通ですよね。

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