マンガ:北川なつ
マンガ:北川なつ

 老け込んだ親の姿にハッとしたことはありませんか? そんな親のきもちや行動を、もしかしたら私たちは誤解しているかもしれません。大阪大学大学院教授で、老年行動学を専門とする佐藤眞一先生のやさしい文章と、まんが家・北川なつさんのマンガで、老いた親のきもちをわかりやすく解説した『マンガで笑ってほっこり 老いた親のきもちがわかる本』(朝日新聞出版)から、いくつかのアドバイスを紹介します。第5回は「話に尾ひれがつくのはナゼ?」です。
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 高齢者から聞く話には、事実と少し違うことがよくあります。作られた部分があったり、大げさに表現されたりするのはどうしてなのでしょうか。そんな親の話に翻弄されることもあり、困ってしまいますよね。

 親の話に尾ひれがつく原因のひとつとして、「自分に注目してほしい」というきもちが働いていることが考えられます。相手が驚くような話をして、気を引こうとしているのです。

 また、「ソース・メモリ」(情報源記憶)が正確でなくなることも原因のひとつ。「ソース・メモリ」とは、「その情報を、いつ、どこで、誰から、どのような状況で獲得したのか」という記憶で、年をとると正しく記憶することが難しくなっていきます。そのため、例えばお隣さんから「宝くじを当てた」と聞いて、実際にお隣さんが「家を新築する」と言ったのか、ただ自分が「それなら家を新築できるだろうな」と考えただけなのかを、後になって判別することができなくなるのです。

 誰かが大怪我をしたなどネガティブに大げさな話は、さみしさの表れかもしれません。その場合には特に注意して、あとは話半分に聞いておくぐらいでよいのではないでしょうか。

【Happyアドバイス】
親の話の内容が、親や家族にとって重要か、そうでないかが大切。
後者なら話半分に聞いてOK。