コーヒーやエナジードリンクに含まれる「カフェイン」で、命を落とす人がいるという。どのくらい飲むと危険なのだろうか? 毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された、朝日新聞科学医療部・阿部彰芳さんの解説を紹介しよう。

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 カフェインがたくさん入った眠気を防ぐ薬や飲み物で、中毒を起こす人が増えている。カフェインはコーヒーや「エナジードリンク」にも含まれ、身近な物質だ。何が起きているのだろう。

 カフェインを一度に大量に取ると、吐き気や心臓がドキドキする症状が出て、死ぬ危険もある。近年、病院に運ばれる中毒患者が相次ぎ、中毒の専門家でつくる日本中毒学会が初めて全国調査をした。2011~15年度の患者は101人で、13年度から急に増えていた。15年度は最多の37人だった。調査に協力したのは38病院だけだから、患者はさらに多いはずだ。

 カフェイン中毒は、大人では短時間に1グラム以上取るとなりやすい。コーヒー1杯(200ミリリットル)のカフェインは0.12グラムほど。同量のエナジードリンクにはコーヒーと同じぐらい、煎茶には3分の1ぐらい、コーラには6分の1ぐらい含まれている。1グラムはだいたいコーヒー8杯分だから、通常の飲み方なら中毒は心配ない。今回の調査でも、101人のうち97人は眠気防止薬が原因だった。うち7人は心臓が止まり、3人は回復しないで死亡している。エナジードリンクだけで中毒になったのは4人だった。

 眠気防止薬は薬局やインターネットで簡単に買える。1錠にコーヒー1杯分ほどのカフェインがあり、一度にたくさん摂取できる。この数年で、いくつかのエナジードリンクが自動販売機でも買えるようになり、「若者を中心にカフェインの効果を知る人が増え、より安く効果的な眠気防止薬を手にしている」と考える専門家もいる。

 ただ、子どもは大人よりもカフェインの影響を受けやすく、中毒にならなくても、少量で頭痛を起こし、眠れなくなる場合がある。日本では特に決まりはないが、カナダでは1日に7~9歳では62.5ミリグラム、10~12歳では85ミリグラムが上限の目安だ。カフェインを含む食品や薬は多く、口にするときは成分表や説明書きに注意したい。(解説/朝日新聞科学医療部・阿部彰芳)

【キーワード:カフェイン】
コーヒーや煎茶、チョコレートなどに含まれ、かぜ薬や栄養ドリンクにも使われている。主に腸から血液に取り込まれ、眠気を防いだり、疲労感を軽くしたりする効果がある。血液中の濃度が半分に減るまでに通常は4~6時間、分解が遅い幼児では1日かかるとされる。

【カフェインを含む主な製品や飲料】
<眠気防止薬(第3類医薬品)>
トメルミン:1錠当り167ミリグラム/6錠で1グラム相当
エスタロンモカ錠:1錠当り100ミリグラム/10錠で1グラム相当

<眠気覚ましドリンク(清涼飲料水)>
強強打破(50ミリリットル):1本当り150ミリグラム/6.7本で1グラム相当
メガシャキ(100ミリリットル):1本当り100ミリグラム/10本で1グラム相当

<エナジードリンク>
モンスターエナジー(355ミリリットル):1本当り142ミリグラム/7本で1グラム相当
レッドブル(185ミリリットル):1本当り80ミリグラム/12.5本で1グラム相当

<嗜好飲料(200ミリリットル)>
コーヒー:200ミリリットルで120ミリグラム/1.7Lで1グラム相当
煎茶:200ミリリットルで40ミリグラム/5.0Lで1グラム相当
(カフェイン量は製品の添付文書、成分表、日本食品標準成分表2015年版による)

※月刊ジュニアエラ 2017年9月号より

ジュニアエラ 2017年 09 月号 [雑誌]

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阿部彰芳
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