川辺はもともとサンフレッチェ広島の下部組織出身だが、レンタル先の磐田で名波浩監督と中村俊輔という元日本代表10番の薫陶を受け、急成長している。正確な組み立てをベースに、狭い所をズバッと通すスルーパスやタイミングの良い飛び出しからのミドルシュートで決定的なチャンスを生むことができる。

 また、ワンタッチパスなどを用いた味方とのコンビネーションが得意で、香川真司など代表の主力選手と組んでも攻撃イメージを共有できる資質はあるだろう。こうした攻撃面の持ち味に隠れがちだが、磐田では守備の1対1や素早いカバーリングにも磨きをかけるなど、“ハリル好み”の要素を多く備えるタレントだ。

 新戦力ではないが、もう1人忘れてはいけないのが大島僚太だろう。最終予選の初戦でいきなり先発したが、攻撃で持ち味を発揮できず、守備でも相手の司令塔オマル・アブドゥルラフマンをフリーにしてしまうなど、良いところなく後半30分に原口元気と交代させられた。その時は“酷な起用法”として、敗戦も相まってハリル批判に拍車をかける要因にもなった。

 その後、再び代表メンバーに選ばれても出場機会は与えられず、最終予選の後半戦は井手口陽介や今野泰幸といった守備能力の高い選手に押し出される形となった。

 しかし、大島も今季から鬼木達監督が率いる川崎で守備の成長が目立っており、もともとのスペシャリティーだった攻撃センスに守備のスタンダードが加わったと評価されれば、再び競争に割って入る可能性は十分にある。ただ、昨年11月から代表戦の直前にけがが続き、23日のヴィッセル神戸戦で左太ももを負傷して退場。タイミングの悪いアクシデントで今回も招集は厳しそうだ。

 より攻撃的なポジションで現在の代表にないものを加えられるポテンシャルを持つ者もいる。ポルトガル1部のポルティモネンセで活躍する中島翔哉と柏レイソルの武富孝介である。中島は技巧的なドリブルからのミドルシュートという武器を持つが、ポルトガルでのここまでの3得点を見ても、ゴール前のポジショニングを意識して伸ばしているようだ。

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