横浜マリノスの扇原貴宏(左)、柏レイソルの武富孝介(写真:Getty Images)
横浜マリノスの扇原貴宏(左)、柏レイソルの武富孝介(写真:Getty Images)

 ロシアW杯の予選突破を決めた日本代表は、10月6日に豊田でニュージーランドと、10日に横浜でハイチと、それぞれ対戦する。28日のメンバー発表を前にヴァイッド・ハリルホジッチ監督は新しい選手の招集を示唆しており、貴重なテストの場になりそうだ。

 新戦力と言っても、ここまで招集経験がありながら出場チャンスに恵まれなかったサブの選手やJリーグで活躍の目立つ選手、期待の若手など、いくつか基準はあるだろう。筆者が注目するのは現在の日本代表に足りない特徴や武器を持つ選手の“発掘”である。

 最終予選ではチームのベースとなる攻守の切り替えや“デュエル”(1対1の強さ)を要求しながら徐々に新陳代謝をはかってきた。だが、ここからは世界での戦いに向けた強化に入る。特に、ハリルホジッチ監督は対戦相手や状況によって戦い方を変えるタイプだ。本大会に向けてはこれまで以上に特徴の違う選手を組み込んでいくだろう。

 日本代表に加えてほしい要素のひとつが中盤からの展開力である。ボールを奪う能力が重視される傾向にある“ハリルジャパン”。前回のメンバーに招集された柴崎岳や高萩洋次郎、小林祐希といったテクニカルな中盤の選手はいるが、中盤でタメを作り、1本のパスやサイドチェンジで局面を変える選手は重要となる。

 その有力候補になりうるのが横浜F・マリノスの扇原貴宏とジュビロ磐田の川辺駿だ。扇原は左足のキックに定評があり、特に中央から左のオープンスペースに通すパスは大きな武器になりうる。体格を生かしたボールキープ力もあり、横浜FMでは堅守速攻のスタイルでそうした特徴を生かし、戦術的な幅も身に付けつつある。

 左足のFKキッカーとしても優秀で、ロンドン五輪代表では吉田麻也などに合わせる形が1つの得点パターンだった。ここ最近は時折あった“軽さ”も改善されている。また、彼が中盤に入ることでセットプレーの守備で“高さ”を加えられることもメリットだ。横浜FMのモンバエルツ監督はハリルホジッチ監督とも親交があり、比較的スムーズに代表のコンセプトを理解できるのではないか。

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