沖縄を見る目が変わったことも実感した。沖縄出身であることが自然と誇りに思えていたし、ポジティブなアイデンティティが作られていた。同じ時代を生きることができて、安室ちゃんの恩恵を十分に受けた。

 どうせ沖縄だからと思う空気感はもうない。

 15歳から東京で働き、売れなかった時代も、親元を離れて寂しかったことも、子育てと仕事の両立も、2018年に引退する引き際の決め方も、乗り越えないといけない壁を越えてきた安室ちゃんが見せてくれた生き方が吹き飛ばした。

 安室奈美恵は沖縄から本土への扉を大きく開けてくれた偉大なスーパースターだ。

(與那覇里子)

與那覇里子(よなは・さとこ)/1982年、沖縄生まれ。大学卒業後、2007年に沖縄タイムス社入社。学芸部(こども新聞など)、社会部(環境、教育、遊軍などを担当)を経て14年からデジタル部。同年、GIS沖縄研究室と共同制作した「具志頭村 空白の沖縄戦」でジャーナリズムイノベーションアワードで特別賞。15年に同研究室、首都大学東京渡邉英徳研究室と共同制作した「沖縄戦デジタルアーカイブ」が文化庁メディア芸術祭入選など。2017年より休職し、首都大学東京大学院システムデザイン研究科で情報デザインを学ぶ