みさご珈琲が開発した炭酸コーヒー「玄武(GEMB)」。見た目はまるで黒ビール
みさご珈琲が開発した炭酸コーヒー「玄武(GEMB)」。見た目はまるで黒ビール
「ノンアルコールで本格的な飲料を作りました」と話すみさご珈琲代表の向井さん
「ノンアルコールで本格的な飲料を作りました」と話すみさご珈琲代表の向井さん
たる詰めしたビールサーバーから、勢いよく注がれる
たる詰めしたビールサーバーから、勢いよく注がれる
福岡・八女の上質な茶葉を使った「八女和紅茶スパークリング」。すっきりとした味で飲みやすい(古賀茶業提供)
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健康志向ともいえる韓国発の麦コーラ「メッコール」。不思議な味わいがくせになる人も
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 サーバーの蛇口をキュッとひねると、中から勢いよく黒い液体が出てきた。きめ細かい泡がグラスを埋めていく様子は、まるで黒ビールのよう。兵庫県宝塚市のカフェ「珈琲焙煎工房みさご珈琲」が、2017年春に売り出した炭酸コーヒー「玄武(GEMB)」だ。

 炭酸コーヒーといえば、これまでにも大手飲料メーカーなどから販売されてきたが、賛否両論。インターネット上では「はまった」「くせになる」と評価する声が上がる一方、「味がおかしい」などと戸惑う意見もあった。

 みさご珈琲の玄武には、ハチミツ入りの「ハニーゴールド」と、チェリーシロップを入れた「チェリーベリー」の2種類があり、日替わりで提供している。代表の向井務さん(37)によると、女性を中心に好評だというが、いったいどのような味なのか?「ハニーゴールド」を飲んでみた。

 グラスのにおいをかいでみると、ほのかに甘い。恐る恐る飲むと、黒ビールのような味がした。それでいて、コーヒーの苦味も感じる。濃厚で、二度、三度飲むうちに、くせになってきた。「濃い目にドリップしたコーヒーに、直接炭酸ガスを注入しています。水っぽさがないでしょう?」と向井さん。

 作り方はこうだ。「ケニアマサイAA」と「エチオピア モカ イルガチェフG1ベレカ」「タンザニアAA」の3種類の豆をブレンドして焙煎し、数日間寝かせる。それらを布のフィルターで抽出し、天然ハチミツやシロップなどを加えてたる詰め。そしてたるに炭酸ガスを注入し、味を調えて完成させる。

 コーヒーだけで十分おいしいのに、なぜ炭酸なのか。きっかけは、17年2月、向井さんの出身地、大阪府能勢町にある関西身延真如寺の副住職、植田観肇さんから「星をイメージしたコーヒーを作ってみてはどうか」と言われたことだった。そこで思いついたのが炭酸。夏場に爽快感のある飲み物を出したい、という思いもあった。

「これまでに出た炭酸コーヒーの味を知っていたので、水っぽくならない、薄くて飲んだ気がしないものは作らないようにしようと考えました」(向井さん)。カクテルやビールの模倣ではない、「本気のノンアルコール飲料」を作ろうと、味を細かく調整し、のどごしにもこだわった。

 8月末には、ハニーゴールド味の瓶詰コーヒーを発売。330ミリリットル入り1本518円(税込)を約4000本製造した。ノンカフェインタイプや肉に合う味も開発しているといい、将来的には海外での販売もにらむ。「牛乳と混ぜてラテにしたり、ビールと混ぜたりしてもおいしいですよ」(向井さん)。限りなく広がるアレンジは、どこへ向かうのか。

 炭酸紅茶もある。古賀茶業(福岡県みやま市)の「八女和紅茶スパークリング」は、お茶の産地、福岡・八女の和紅茶に炭酸水をブレンドした飲み物だ。

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