すると4年後のダービーマッチで、キーンはハーランドの右ひざに向かって足の裏から突進。当然レッドカードが提示されるプレーで十字靭帯断裂の重傷を負わせ、後に出版された自伝で故意のプレーであることを示唆するような記述もされた。キーンはゴーストライターによるものであると否定したが、イングランドサッカー協会からは5試合の出場停止と罰金が科されている。

 また、イングランドのジョーイ・バートンが演じた大立ち回りも、歴史に残るかもしれない。

 そのキャリアの中で数々のラフプレーや問題行為を起こしてきたバートンだが、12年に当時所属のクイーンズ・パーク・レンジャーズ(QPR、イングランド)が最終戦でマンチェスター・シティと対戦した際に、ボールと関係ないところでカルロス・テベスにひじ打ちを入れて昏倒させた。そして、主審にレッドカードを提示された際に両チームがもみあいになったところで、シティのセルヒオ・アグエロを後ろから蹴り上げた。さらにバンサン・コンパニに頭突きを見舞い、関係者に引きずられるようにピッチから去った。

 これにより、バートンは12試合出場停止。それも、移籍先のマルセイユ(フランス)でも処分継続という重いものになった。シティの優勝とQPRの残留が掛かった一戦だっただけに、レッドカードが珍しくない彼のキャリアの中でも、多くのサッカーファンの記憶に残るものとなった。

 また、現在バルセロナ(スペイン)でプレーするルイス・スアレスによる3度にわたる“噛みつき”事件もサッカー界の問題行為として歴史に残る。スアレスの“初犯”はアヤックス(オランダ)時代の2010年、ライバルクラブ・PSVアイントホーフェンのオトマン・バッカルの左肩に噛みつき、7試合の出場停止処分を受けた。

 移籍したリバプール(イングランド)でも13年にチェルシー(イングランド)の ブラニスラフ・イバノビッチの腕を噛んで、10試合の出場停止処分。さらに、ウルグアイ代表として出場した14年のブラジルワールドカップでは、イタリア代表のジョルジョ・キエッリーニの肩に噛みついた。試合中の噛みつき行為が3度目となることを国際サッカー連盟(FIFA)も問題視し、ウルグアイ代表として公式戦9試合出場停止、スタジアム入場禁止を含むサッカー関連活動の4カ月間禁止、さらに罰金という厳罰が下っている。

 サッカースタジアムの熱狂的な雰囲気や、国同士、選手同士が持つ因縁から必要以上にヒートアップしてしまう場面は見られる。しかし、スポーツの枠を超えたレベルのラフプレーや問題行為は根絶されるべきだ。こうした、悪い意味で記憶に残るシーンが生まれなくなることを願いたいものだ。