将棋界の貴族 佐藤天彦名人が明かす、自分史上最も攻めたファッションアイテム (2/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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将棋界の貴族 佐藤天彦名人が明かす、自分史上最も攻めたファッションアイテム

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昨年毎日ファッション大賞話題賞を授賞した、“貴族”佐藤天彦名人のファッションへのこだわりとは?(写真:毎日新聞社)

昨年毎日ファッション大賞話題賞を授賞した、“貴族”佐藤天彦名人のファッションへのこだわりとは?(写真:毎日新聞社)

理想を現実にする力

佐藤天彦著

978-4022737144

amazonamazon.co.jp

 しかし、そうやって買わない・着ない理由を探してみても、それ以上に私の目にはアン・ドゥムルメステールは素敵に見えた。つまり、ここまでに挙げた理由よりも、好きなものを追い求めたいという気持ちのほうが勝ったのです。であれば、何も迷うことはありません。一時期は、貯金を切り崩し電気が止められそうになるまで、アン・ドゥムルメステールの服に投資しました。お会計のときに手持ちがなくて慌ててATMへ駆け込んだことも……。二十代前半という多感な時期に、多少無理をしてでも好きなもの、感動させられるものを取り込んでおいて良かったと思っています。

 結果として“貴族”というあだ名が広まったわけですが、ちょっと攻めすぎたかな?と思うこともしばしば。これまで購入した服の中でもっともチャレンジしたなと思えるのは、(アン・ドゥムルメステールではないのですが)ラメが織り込まれたツイード素材のブラックナポレオンジャケット。

 アイテムそのものは格好いいのですが、プロポーションの良さを求められる服で、自分には厳しかったかなという思いがあります。

 着るときは「今日はこれで良かったのかな?」と思うときもありますが、そんなアイテムは1人で演奏会に行くときなどを選んで着て楽しんでいます。

 こんなふうに、私のワードローブにはドレス寄りのアイテムが多いのですが、それだけでは普段使いしづらい面もあります。そんなときに重宝しているのがサンローラン・パリのブルージーンズ。

 これまでジーンズはそこまで積極的に履いていなかったのですが、最近は取り入れるようになりました。というのも、ジーンズと合わせるとそういったアイテムも活かしやすく、街着として着やすいのです。

 いまでは、好きな服を満足のいくコーディネートで着られた日は幸せですし、それに、自分らしく自然でいられます。個性的な服をチョイスするのは、はたから見ると不自然に見えるかもしれませんが、私にとってはそれが当たり前であり、自然なのです。

 他の人のファッションがちょっと変わったものに見えたときも、なるほどこれがこの人の好きな服で、この人にとって自然になれる装いなのだなと思えます。人によって、美しいと感じるもの、好ましいと思うものが違う。その価値観は、世間での評判や価格と一概には関連づけられない。これは人間世界の面白さだと思います。


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