リーグ優勝を決め、胴上げされる広島の緒方監督 (c)朝日新聞社
リーグ優勝を決め、胴上げされる広島の緒方監督 (c)朝日新聞社

 広島が2年連続のリーグ制覇を果たした。シーズン中盤から独走状態に入り、最終的に2位の阪神を10ゲーム以上離す圧倒的な強さでの優勝だった。21世紀に入り、リーグ連覇を果たしたチームはセ・パ合わせて4チーム(巨人中日北海道日本ハム、福岡ソフトバンク)あり、広島は5球団目となる。2年連続でセの他チームを寄せ付けない強さを見せた広島には黄金時代到来の声もあるが、過去にも時代をけん引した強豪チームが存在した。

 「黄金時代」の代名詞とも言えるのが V9時代の巨人だ。1965年から73年まで、セ・リーグのみならず、日本シリーズ9連覇という偉業は、今後も破られることはないと見る向きが多い。

 川上哲治監督率いる絶対的王者の巨人は、長嶋茂雄、王貞治というNPB史上に残る2人の伝説のプレーヤーの存在が全てと言えるチームだった。川上監督が当時の日本では画期的と言えた「ドジャース戦法」、現在で言うスモール・ベースボールを導入し、柴田勲や土井正三、高田繁、森昌彦(森祇晶)など、個性的な顔ぶれの選手がそれを実践した。

 しかし投手陣を見ると、初期の時代に城之内邦雄、その後は右の堀内恒夫、左の高橋一三という絶対的エースがいたが、他に安定した成績を残せる投手がいなかった。この時代に流行した『巨人の星』や『侍ジャイアンツ』などの野球漫画の主人公が投手だったことが当時のチーム事情を表している。ON以外を応援していたオールドファンから異論は出るかもしれないが、やはり、大黒柱の長嶋、王の2人の存在なくしては、これだけの連覇はありえなかったと言うしかない。

 60年代後半から70年代には、パ・リーグで阪急ブレーブスが黄金時代を築いた。「悲運の名将」と呼ばれた西本幸雄監督が育て上げた山田久志、福本豊、加藤英司(加藤秀司 )の3人の名球会選手が中心のチームを上田利治監督が引き継ぎ、67年から3連覇、71年から2連覇、そして75年からは4連覇と、12年間で9度のリーグ優勝を果たした。同世代の3人を中心に、長池徳二(長池徳士)、蓑田浩二、マルカーノ、山口高志、足立光宏など、実力派の選手が揃った。

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