成毛眞さん(撮影/大嶋千尋)
成毛眞さん(撮影/大嶋千尋)

 今、時代は人工知能(AI)の普及で大動乱の時代を迎えつつある。そんな中、どんな人材が生き残っていけるのか? そのカギは、あなたが「理系脳」の性質を持っているか否かにかかっている。元マイクロソフト社長・成毛眞が著書『理系脳で考える』で新しく提案した「理系脳」の持ち主とは、どんな人物なのだろうか?

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 理系脳の持ち主は、根拠のない万能感に溺れることはない。自分が世界を変えられると妄想することもない。自分がSNSに何かを書き込めば世界を動かせるとも、もちろん思っていない。ただし、この分野でならばこの程度のことはできるのではないかと冷静に分析し、それに取り組むことはできる。裏を返せば、自分の力ではどうにもならないと思っていることに関しては、言及しないどころか無関心だ。

 一方で文系脳の持ち主は、自分とは無関係のことに興味津々だ。アベノミクスは正しかったかそうでなかったかを論じたり、魚の仲買人でもないのに築地市場の移転問題について延々と持論を述べたり、西の方の学校法人で起きている出来事に難癖を付けてみたりする。もちろん、この世の中、この国で起きていることだからまったくの無関係というわけではない。しかし、その人にとって国の経済政策や築地市場や森友学園、加計学園で起きていることは、それほど重要なことなのだろうか。その発言は、どれだけ影響力や意味を持つものだろうか。

 たとえば、ある英単語をいつもパソコンで間違ったスペルで入力してしまうとする。これを解決するにはどうしたらいいか。

 真面目なだけの人なら、正しいスペルが身につくまで、100回でも1000回でも、キーボードを叩いて暗記しようとするだろう。また、文章を書き終えてから目を皿のようにして間違っていないかチェックをするだろう。  

 しかし、単なる真面目にはとどまらない人なら、間違ったスペルで入力しても、正しいスペルが表示されるように設定を変更したり、その単語に限らず、辞書に載っていない単語が入力されたら間違いの可能性を指摘する仕組みにたどり着いたりするかもしれない。今使われているスペルチェックの仕組みも、こうやってできてきたはずだ。

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