マンガ:北川なつ
マンガ:北川なつ

 老け込んだ親の姿にハッとしたことはありませんか? そんな親のきもちや行動を、もしかしたら私たちは誤解しているかもしれません。大阪大学大学院教授で、老年行動学を専門とする佐藤眞一先生のやさしい文章と、まんが家・北川なつさんのマンガで、老いた親のきもちをわかりやすく解説した『マンガで笑ってほっこり 老いた親のきもちがわかる本』(朝日新聞出版)から、いくつかのアドバイスを紹介します。第3回は「どうして家じゅうに物を溜め込むの?」です。

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 期限の切れた食べ物、ひび割れた食器、破れた服……。高齢者の家には、明らかに不要なものがあふれかえっていることがあります。ゴミ屋敷のように事態が深刻なことも。強行に片付けるわけにもいかず、悩みは深まるばかりですよね。なぜ高齢者は物を溜め込んでしまうのでしょう?

 きっかけは些細なことです。まだ食べられるから、まだ使えるからと、とりあえず取っておくことから始まります。とりあえず取っておくことが積み重なった時、物の山を片付ける気力や体力が高齢者にはもはやなくなっているのです。

 ゴミを捨てる際の分別が複雑であることも、物を溜め込む原因のひとつです。いらない靴は、どのゴミに出せばよいのでしょうか? 割れた食器は……? 若い世代でも悩むことが多いでしょう。ゴミをなんとか出すことができたとしても、曜日や分別の仕方を間違えて回収されず、その場に置き去りにされることもしばしば。恥ずかしい思いをし、より一層、ゴミを出すのが億劫になってしまうのです。

 ゴミ溜めを解消するには、少しずつ一緒に片付けるのが早道かもしれません。まずは「絶対にいらない物」だけを教えてもらうのがコツです。

【Happyアドバイス】
片付けは親子で一緒に。たんす一段分、部屋の一角分など、無理せずコツコツと。ゴミの日は教えてあげよう。