■QOLを考慮し切除範囲を絞り込む

 術後の体重減少に悩む患者のために、食事の摂り方や運動などの生活指導、薬物療法、栄養補助食品といったさまざまな対策が講じられているが、体重が元に戻らず苦しむ人も少なくない。

 比企医師は、「手術方法を選ぶ段階から、体重減少を予防することができる」と強調する。もちろん根治をめざして、がんの病巣をしっかり取り切ることは大前提だ。

「現在は診断法の進歩に加え手術方法を工夫することで、切除範囲をかなり絞り込めるようになっています。『とりあえず大きく切ろう』ではなく、患者さんのその後の生活、ひいては人生を十分に考えた最適な手術方法を選ぶことが大事です」

(取材・文/谷わこ)