戦力的にグループ3番手と見られるローマは、クラブのバンディエラ(旗頭)だった元イタリア代表FWフランチェスコ・トッティが現役引退した。とはいえ、前線のボスニア・ヘルツェゴビナ代表FWエディン・ジェコを筆頭に生え抜きのイタリア代表MFダニエレ・デ・ロッシ、圧巻のシュート力を誇るベルギー代表MFラジャ・ナインゴラン、オランダ代表の司令塔ケビン・ストロートマンとセンターラインがしっかりしている。クラブOBのエウゼビオ・ディ・フランチェスコ監督が率いるチームは大崩れしにくいが、ローマがチェルシーとアトレティコに割って入るには、ジョーカーとして定着しつつあるイタリア代表FWステファン・エル・シャーラウィなどの活躍が重要になるだろう。

 大会全体の中で注目クラブにあげられるのが、フランス王者パリSGだ。バルセロナからブラジル代表のネイマールを、モナコから昨季CLで大ブレイクしたフランス代表のFWキリアン・ムバッペをそれぞれ獲得した。前回はラウンド16の1stレグでバルセロナに4‐0と勝利しながら2ndレグで大逆転を許す屈辱的な敗退を喫した。ウナイ・エメリ監督も批判の矢面に立たされたが、首脳陣の評価は揺るがず留任し、不退転の決意で今季のCLに臨むことになる。

 移籍金の総額500億円にも達すると言われるネイマールとムバッペはリーグアンで早くも衝撃的な活躍を見せている。特にネイマールはアルゼンチ代表FWリオネル・メッシ、ウルグアイ代表ルイス・スアレスと“MSN”を形成したバルセロナ時代よりも自由度の高い10番らしい存在感を発揮している。そのパリSGと同組になったドイツ王者バイエルン・ミュンヘンも優勝候補だが、週末のブンデスリーガでホッフェンハイムに0‐2と完敗。メンタル面でうまく切り替えてアンデルレヒト(ベルギー)とのCL開幕戦に照準を合わせられるか。

 ネイマールを失ったバルセロナは、前回準優勝のイタリア王者ユベントスをはじめ、母国代表の新鋭タレントが揃うスポルティング(ポルトガル)、常にCLをにぎわすギリシャの名門オリンピアコスといった難敵揃いのグループで苦戦を強いられそうだ。気鋭のエルネスト・バルベルデ新監督もバルセロナのようなメガクラブを率いるのは初めて。ただ、メッシやスアレスが健在で、ドルトムントから新鋭のデンベレを、広州恒大(中国)からブラジル代表MFパウリーニョをそれぞれ獲得。チームはリーガ・エスパニョーラで開幕戦から3試合9得点無失点の3連勝を飾っている。いきなりホームで迎えるユベントス戦にしっかり勝利してCLでも波に乗りたいところだ。(文・河治良幸)