二夜連続のサヨナラ勝ちで喜ぶ広島ナイン(c)朝日新聞社
二夜連続のサヨナラ勝ちで喜ぶ広島ナイン(c)朝日新聞社

 広島がリーグ連覇に向けて、ひた走っている。5日からの2位阪神との直接対決で3連勝し、リーグ優勝へのマジックを急速に減らした。ゲーム差6.5での対決と、天王山と呼ぶにはやや無理もあった阪神との3連戦だったが、8月のチーム成績が17勝9敗1分の阪神に対して、広島は今季初の月間負け越しとなる12勝13敗2分と、勢いの差は歴然で、虎党が夢を見る要素は多分にあった。

 しかし、シーソーゲームとなった初戦を、安部友裕の劇的サヨナラ弾で広島が勝利してマジック12が点灯すると、2戦目は延長戦の末、會澤翼の適時打で2試合連続サヨナラ決着。3戦目も逆転勝ちで広島の3連勝となり、奇跡の逆転優勝を狙う阪神に引導を渡す形となった。

 今季の広島は、開幕2戦目からの10連勝(1引き分けを挟む)以降、そのまま独走状態を保ち続け、現在に至っている。かつては鬼門と言われた交流戦には、貯金10からスタートし、最終的には12勝6敗と12球団2位で終え、阪神以外のセ・リーグ各球団が貯金を作れない中、6つの貯金を増やした。

 昨季はセ5球団全てに勝ち越し、文字どおり完全優勝を果たした広島だが、今季は9月9日現在でDeNAに9勝11敗と負け越しており、阪神とも9月の3連戦前までは、10勝9敗1分と互角の成績だった。そんな状況下で独走態勢を築けたのは、開幕前は優勝争いのライバルと目された巨人と、故障者続出で最下位に低迷するヤクルトとの対戦成績にある。巨人とは16勝7敗、ヤクルトは16勝6敗と、この2チーム相手で実に19もの貯金を作っている。

 特に巨人は、交流戦前までの11試合で10勝1敗と完全にカモにしており、敵地で不利なはずの東京ドームで開幕から7連勝し、今季初黒星を喫したのが8月30日と、にわかに信じがたいような結果となっている。今季の巨人の7勝のうち、6勝が田口と菅野の先発時に挙げたもので、他の先発投手では勝負にならない状況だ。今季12勝と好調なマイコラスも、自身の6敗のうち4敗が広島相手と、球団史上に残る優良助っ人にとって、唯一とも言える苦手チームとなっている。

 ヤクルトも4月と5月の神宮3連戦に負け越したのみで、その他のカードは全て広島が勝ち越しと、完全にお客さん状態と言える。昨季まで天敵だった山田哲人とバレンティンの2人が、今季はいずれも対戦打率が2割台前半と、主軸を抑え込んだことが、貯金10という対戦成績につながっている。

 その他の3チームには、いずれも昨季は一度もなかった同一カード3連敗を喫しており、必ずしも一方的な展開ではなかった。中日には14勝7敗2分と、すでにシーズン勝ち越しを決めているが、5月の3連戦では同一カード3タテを喫し、8月にも3連戦で1分2敗と、鬼門のナゴヤドームは健在だった。阪神にはGWの3連戦で9点差からの逆転負けを含む3タテ、DeNAには8月に3戦連続サヨナラ負けでの同一カード3連敗と、ペナントレースの行方を左右しかねない連敗があった。

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