サウジアラビア戦に出場するも、アピールできなかった杉本(左)と岡崎(撮影・六川則夫)
サウジアラビア戦に出場するも、アピールできなかった杉本(左)と岡崎(撮影・六川則夫)

 現地時間9月5日に行われたサッカーW杯アジア最終予選の最終戦、アウェーのサウジアラビア戦は、FW大迫勇也(ケルン/ドイツ)の代えの利きにくい重要性が浮き彫りになった試合だった。

 大迫が1年4カ月ぶりに代表招集されたのは昨年11月と早くはなかったが、オマーン戦で2得点をあげると、ホームのサウジアラビア戦では得点こそなかったものの、縦パスを次々とおさめて2列目の選手に前を向かせた。そこから完全にFWの主力として定着してきた。

 ブンデスリーガのプレシーズンマッチで負った右足首の負傷により、W杯出場が決まる大一番への出場が危ぶまれたが、そこから順調な回復で復帰。オーストラリア戦でも確かな活躍を見せ、W杯出場を決めたチームを支えた。

 しかし、その喜びもつかの間、サウジアラビア入りして2日目の練習でのことだった。かなり真剣な話をハリルホジッチ監督としていた大迫は、指揮官の言葉に対して険しい表情を浮かべていたことから事情は読み取れたが、サウジアラビア戦で23人の登録メンバーからも外れた。

「大迫がメンバーに入っていなかったのは、岡崎と杉本にチャンスを与えるためだ。よりフレッシュな選手を入れて、他の選手に機会を与えるという2つの理由があった」

 そう語るハリルホジッチ監督は大迫のコンディションにも配慮したと考えられるが、この試合で中央のFWを担った岡崎慎司は長身のCBを相手に前線でなかなかボールを納めることができず、彼のポストプレーから2列目の選手が前を向いて仕掛ける機会が限られた。

「あんまりそこは……まあ収まる時もあったし、収められなかった時もあったし、普段もあんまり意識はしてない。むしろそこで落とした後にどう裏を抜けるかとか、そういうことを考えていたので、一発抜けられそうな場面もあったし、出ればチャンスになりそうな場面もあった」(岡崎)

 岡崎の言葉は半分的を射ている。要するに、何度かあった決定的なチャンスに決めていれば、そうした問題もフォーカスされにくいということだ。しかし、前線でボールが収まるかどうかは今回の結果に限らず影響する部分だ。ただ、我々の見方も大迫がいる前提の基準になっているところはあるかもしれない。

 岡崎が中央のFWに入る場合は[4‐3‐3]よりも[4‐2‐3‐1]で、せめてトップ下のサポートがある形の方が特徴を発揮しやすいだろう。実際に3月のUAE戦までは[4‐2‐3‐1]の方がメインだった。もちろん採用するシステムは対戦相手にもよるが、ショートカウンターが主体となる[4‐3‐3]は現状「大迫ありき」のシステムと言えるかもしれない。

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