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元SEALDs 諏訪原健「女性専用車両は男性差別という社会風土の弊害」

連載「20代の処方箋」

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諏訪原健dot.#諏訪原健

諏訪原健(すわはら・たけし)/1992年、鹿児島県鹿屋市出身。筑波大学教育学類を経て、現在は筑波大学大学院人間総合科学研究科に在籍。専攻は教育社会学。2014年、SASPL(特定秘密保護法に反対する学生有志の会)に参加したことをきっかけに政治的な活動に関わるようになる。2015年にはSEALDsのメンバーとして活動した

諏訪原健(すわはら・たけし)/1992年、鹿児島県鹿屋市出身。筑波大学教育学類を経て、現在は筑波大学大学院人間総合科学研究科に在籍。専攻は教育社会学。2014年、SASPL(特定秘密保護法に反対する学生有志の会)に参加したことをきっかけに政治的な活動に関わるようになる。2015年にはSEALDsのメンバーとして活動した

 1週間ほど前のことだろうか、SNSを見ていたら、イギリスで女性専用車両の導入に反対意見が挙がっているというニュースを目にした。はじめは「どうして反対するのだろう?」と思ったが、理由を見たら納得した。その理由とは、「性犯罪を常態化させてしまうことになるから。」というものだった。女性専用車両を設ければ、痴漢する人の存在を許容してしまうことになる。そのことに対して反対の声が上がっていたのだ。

 日本でも、女性専用車両に反対する声をよく耳にする。しかしその理由は、イギリスとはまるで違う。多くの場合は、女性専用車両の取り組みによって、女性が「優遇」されているものと考え、それを「男性差別」だとする立場からの反対だ。しかもわざわざ女性専用車両に乗り込むことで、抗議する男性までいるというから驚きだ。

 どうしてこれほどに「女性専用車両」をめぐる認識が異なるのだろうか。まず思うことは、日本社会では「痴漢」が深刻な社会問題として認識されていないということだ。「痴漢」と検索してみて驚いたのだが、上位にくるのはアダルト関連のサイトばかり。性暴力は許されざるものであるにもかかわらず、あまりにもカジュアルな形で消費の対象となっている。

 駅の構内で、「痴漢は犯罪」と書かれたポスターを目にする度に、「そんな当たり前のことを啓発しなければならないのか……」と感じていた。しかしそれほどまでに、きちんと「犯罪」として受け止められていないというのが、残念ながらこの社会の現状なのだ。

 さらには、性暴力の被害者に対して、自己責任を振りかざす風潮も強い。性暴力の話になると、真っ先に「誘惑するような服装だったのでは?」とか、「夜道をひとりで歩くのが悪い」とか、そういう声が溢れかえる。それどころか性暴力被害にあうことを、「恥」と見なすような風潮すら蔓延している。

 以前、大学の先輩が「彼女がレイプされたら、付き合っていられる?」という話題をふってきたことがある。その人自身の回答は「他の男に襲われたと思うと、レイプされた人とは付き合えない」というものだった。私はその発言に戸惑って黙り込んでいたが、周囲の人たちは意外と共感を示していた。性暴力へのいびつな認識は、若い世代であっても、当たり前のように染み付いている。


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