広陵・中村奨成(左)と早実・清宮幸太郎(c)朝日新聞社
広陵・中村奨成(左)と早実・清宮幸太郎(c)朝日新聞社

 9月1日からカナダで行われる「第28回WBSC U‐18ベースボールワールドカップ」。ドラフトの目玉と見られている清宮幸太郎(早稲田実)、安田尚憲(履正社)、そして夏の甲子園で1大会6本塁打の新記録を達成した中村奨成(広陵)が揃って出場するということもあって、例年以上に高い注目を集めている。過去二大会はいずれも決勝で敗れていることもあり、念願の初優勝への期待も大きい。選ばれたメンバーから、優勝への戦い方について展望する。

 まず過去の大会を振り返ってみると、U‐18の侍ジャパンは前回、前々回とも出場国の中で失点は最も少なく、投手力が強みとなっていることがよくわかる。今大会でもやはり投手力がカギになることは間違いないが、特に重要なのがクローザーだ。前々回大会は山岡泰輔(オリックス)、前回大会は上野翔太郎(駒沢大)、昨年のU-18アジア選手権は堀瑞輝(日本ハム)といずれも制球力と必殺の決め球を持つ投手がリリーフで好投したことが大きかった。

 今大会では清水達也(花咲徳栄)がその役割を任せられることが予想されている。夏の甲子園でも全試合にリリーフ登板してチームを優勝に導いており、その経験があるのは頼もしい限りである。ただ過去の投手と比べると制球力がそこまで高くないのは不安要素で、状態を見て他の投手も準備しておきたい。必殺の決め球を持つ川端健斗、田浦文丸の秀岳館のサウスポーコンビはその候補となるだろう。

 一方で徳山壮磨(大阪桐蔭)、三浦銀二(福岡大大濠)、山下輝(木更津総合)、磯村峻平(中京大中京)と先発として試合を作る能力が高い投手が揃っているのは心強い。4人とも自滅することがなく、安心して先発を任せることができる。夏は不調だった櫻井周斗(日大三)を打撃に専念させても問題ないだけの顔ぶれと言えるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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