空いた時間を刹那的に使う。ゲームや料理、スポーツ、読書、旅行…なんでもいい(※イメージ写真)
空いた時間を刹那的に使う。ゲームや料理、スポーツ、読書、旅行…なんでもいい(※イメージ写真)
成毛眞さん(撮影/大嶋千尋)
成毛眞さん(撮影/大嶋千尋)

 今、時代は人工知能(AI)の普及で大動乱の時代を迎えつつある。そんな中、どんな人材が生き残っていけるのか? そのカギは、あなたが「理系脳」の性質を持っているかにかかっている。元マイクロソフト社長・成毛眞が著書『理系脳で考える』で新しく提案した「理系脳」の持ち主とは、必ずしも理系出身者とはかぎらない。文系出身者の中にも、「理系脳」の持ち主はいるのだ。

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 理系脳はまず、刹那主義だ。刹那主義とは、「その場しのぎ」とか「無計画」など、悪い意味で使われることが多い言葉だが、実際には刹那主義は素晴らしいことだ。

 刹那主義の反対語を私なりに定義すると、キャリア志向である。自分探しや自分磨きに一所懸命なキャリア志向の人は、きれいなキャリアを積むことに必死になって、朝は朝活、昼は昼活、夜は夜活とカツカツして、必死に人脈を広げコミュニケーション能力を高めようとする。

 そういったことに何の意味があるだろうか。

 不断の努力とはまったく無関係に、世の中は変わっていく。たとえば、一所懸命、有力とされる人物とコネクションを作ったとしよう。しかし、有力者が業界から去ればその価値は激減する。これはそう珍しいことではない。

 もしも名刺集め活動が心から好きで、それをしていないと自分ではないと感じるなら、思う存分やればいい。しかし、そうしていればきっとよりよい自分になれるのではないかという妄想に基づいて半ば義務的に行動しているなら、きっぱり止めるべきだ。そして、空いた時間を刹那的に使えばいい。自分の好きなことだけに使うのだ。

 人によってはそれがゲームだったり、料理だったり、スポーツだったりするだろう。あるいは読書や旅行かもしれない。それで十分だ。ゲームをしていれば、その進歩や描写にテクノロジーを感じるだろう。料理は化学実験そのものだ。スポーツはただやみくもに取り組んでいても上達しない。そこには動作解析などのサイエンスが欠かせない。読書をしていれば、読書前よりも必ず知恵が付く。旅行をすれば、初めての風景を必ず見ることになる。

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