オーストラリア戦に向けて調整する日本代表の選手たち(写真:Getty Images)
オーストラリア戦に向けて調整する日本代表の選手たち(写真:Getty Images)

 勝てばロシアワールドカップ出場が決まる、オーストラリアとの歴史的な決戦を前に、日本に甘い香りを漂わせる一報が届いた。

「サウジアラビア、UAEに敗れる!」

 現在、日本は勝ち点17で首位。サウジアラビアとオーストラリアが勝ち点16で追いかけている。先に1試合を消化したサウジアラビアが負けたので、日本は仮にオーストラリアに引き分けか、あるいは負けた場合でも、最後のサウジアラビア戦は引き分け以上でOKになった。ワールドカップ出場圏内の各組2位以上を確保できる。

 まさしく、吉報。UAEさん、ありがとう。

 いや……、本当にそうなのだろうか。この情報をオーストラリア戦が終わった後で知るなら、まさしく吉報だが、今知ったところで、日本がきょう31日に試合を行うことは変わらない。

 オーストラリア戦は、勝てば自動的に出場権を獲得するが、その一方、引き分けと負けは、ほとんど状況が変わらない。積極的に勝ちを狙う方がおトクだ。たとえば1-1の状況なら、1-2にされるリスクを負ってでも、2-1の勝利を狙った方がいい。

 というか、もともとオーストラリア戦はサウジアラビアの敗戦がなくても勝ち点の計算上、引き分けと負けに大差がない試合だった。日本が引き分けで勝ち点を18に伸ばしても、負けて17に留まっても、現状16のオーストラリアやサウジアラビアがひとつ勝てば、結局抜かれてしまう。

 最初からオーストラリア戦は勝ちを目指すべき戦いだった。次のサウジアラビア戦が引き分け以上でOKになったことは、オーストラリア戦のゲームプランには何も関係がないのだ。

 今回は単純に、勝てなかったときの保険ができたに過ぎない。その保険が適度な余裕を生めばいいが、「次は引き分けでもいい」という意識が刷り込まれるとマイナスになる。サウジアラビアの敗戦は、むしろ危険な報せだ。

 日本戦で勝利以外に道がなくなったサウジアラビアが、酷暑のホームで日本よりも3、4日早くからコンディションを整えて待っている。オーストラリアとは違い、サウジアラビアはゲームコントロールが下手なチームだが、攻撃陣の個の力はアジア最強クラス。彼らが捨て身で向かってきたら、かなり怖い相手だ。引き分け以上でOKだからといって楽観視できるほどの材料ではない。

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