その本田よりドリブルや飛び出しのスピードに特長のある久保だが、クラブでは今季のスタートから公式戦7試合で無得点と苦しんでいる。さらに練習の合流が試合の3日前からで、準備としても難しい。もし本田をスタメン、抜群のスピードを誇る浅野をジョーカーとした場合に久保はサウジアラビア戦に備える選手にもなりうる。

 左サイドは右が本田になるとすれば、よりスピードを生かしたドリブル突破や飛び出しなどが求められる。原口は最終予選で主力として定着してきたが、クラブで開幕から途中出場が続いている。一方でけがなどの挫折を乗り越え1年ぶりの復帰を果たした武藤と、スペインリーグで3シーズン目を迎えた乾はスタメンを確保しており、調子では原口を上回る。

「フレッシュですけどね。逆に飢えている状況」と心境を語る原口。彼には代表で確立してきた信頼があり、アウェーのオーストラリア戦でゴールをあげていることも大きい。また、オーストラリアは右サイドに原口の同僚であるレッキーを起用することが想定される。「彼の良さも分かっているので、癖っていうのもね」と原口。守備面の安定感を考えても、やはり原口がスタートで出て、試合展開に応じて武藤か乾を投入というプランになるのではないか。

 原口を第一のスタメン候補とする場合、武藤と乾のどちらを優先するかと考えると、ジョーカーとして明確にリズムを変えやすいのは乾だが、所属クラブでの事情で合流が29日火曜日になるのが懸念事項か。「チャンスをもらえればやれる自信はある」と語る武藤は「やっぱりヒーローになるチャンスがあるというのが、わくわくしますし、本当に点を取りたい」と強い意気込みを示した。

 特長である飛び出しについては「代表の選手たちはそれを分かってくれていると思いますし、チームとしての裏への抜け出しは重視していると思う」と語り、1年の“ブランク”に対する不安は無い様子。武藤の場合は左サイドに加えて中央の両方でオプションになり、セットプレーの守備でもそれなりの貢献は可能だ。

 オーストラリア戦では9人のFWのうち2〜3人がベンチから外れる見込み。ただし、外れる選手はコンディションも含め、戦略的な判断からサウジアラビア戦の方で期待することとセットになる。もちろんオーストラリアに勝利して予選突破を決め、サウジアラビア戦は本大会に向けた最初のテストとなれば良いが、チームがいかに一体となって勝負に臨めるかが命運を握るカギになるだろう。(文・河治良幸)