政治家も官僚も同じだ。彼らもそういう弱い存在であるということを前提にしたときに、最も重要なのが、正確な情報開示であることは自明のことだ。自分たちの行動を見られていると思えば、多くの場合、悪いことはできない。しかし、この面において、今回、そこに大きな欠陥があることが明らかになった。

 問題がわかれば、それを正すのは難しくない。情報開示についていえば、政策決定過程のあらゆる文書を残して開示することを担保するための公文書管理法と情報公開法の抜本的改正案を次の臨時国会に提出すべきだ。特定秘密保護法の改正も必須である。

 個人メモだろうが、メールだろうが、携帯メールやLINEのやり取りであろうが、役所の仕事に関係するものは全てを保存する。昔と違って、パソコンもサーバーもその容量はけた違いに増えている。予算と人さえつければそれを実行することは十分可能だ。

 また、どんな些細な情報でも廃棄する場合は、事前にその旨をネット上で公示し、国民から保存要請があったら、全て公文書館に移管して保存する。情報公開はネット上で受け付け、ネット配信なら無料とする。それくらいのことはやる気になればできる。

 それとともに、今回の一連の問題で明らかになったのが、内部告発の重要性だ。森友も加計も防衛省日報も内部告発がなければ、闇に葬られていた可能性が高い。独立した第三者による告発受理機関を設立することが必要だろう。

■マスコミ、特に政治部の改革が必須

 今回の件で、マスコミの機能が非常に弱体化していることが明らかになった。内部告発の情報を入手してもNHKがなかなか放送できなかったというのが最たる例だ。

 また、官房長官会見では、東京新聞社会部の望月衣塑子記者の国民目線の鋭い質問が注目を浴びたが、逆に言えば、それまで政治部の記者は何をしていたのかということだ。今も、各社において、政治部が他の部の安倍政権批判の記事に横やりを入れたり、官邸の記者クラブが官房長官会見での望月氏らの質問を妨害する動きを見せるなど、どちらを向いて仕事をしているのかと思われるような状況になっている。

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