エースとしてチームを支えた大阪桐蔭・徳山(c)朝日新聞社
エースとしてチームを支えた大阪桐蔭・徳山(c)朝日新聞社

 花咲徳栄の初優勝で幕を閉じた夏の甲子園ドラフト的な観点では清宮幸太郎(早稲田実)、安田尚憲(履正社)が出場を逃し本命不在と言われたが、そんな中でも目を引くようなプレーを見せた選手は少なくなかった。ここではそんな甲子園で輝いた有力選手達をドラフト候補としての観点で評価、分析したい。なお中には既に進学が噂されている選手も含まれているが、あくまでプロ志望だったらという目線で平等に評価した。第一回は投手編からお送りする。

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評価A:プロ志望なら上位指名濃厚
評価B:プロ志望なら指名濃厚
評価C:プロ志望なら指名の可能性あり

■徳山壮磨(大阪桐蔭)
ポジション:投手
身長体重・投打:183cm・73㎏・右投右打
評価:A
おすすめ球団:DeNA

 大阪桐蔭不動のエースで、史上初となる二度目の春夏連覇を目指したチームの大黒柱となった。球速は140キロ前後が多いが、それでも球持ちが良く数字以上の威力を感じる。そして何より素晴らしいのがその緻密さ。しっかり腕を振って両サイドいっぱいに投げ分けるコントロールは大学生、社会人を含めても1、2を争うレベルだ。まだ細身だがフォームに欠点らしい欠点がないだけに、体の成長とともに更にスケールアップが期待できる。進学が噂されているが、もしプロ志望なら高卒のエース候補が見当たらないDeNAはぜひ獲得したい。

■阪口皓亮(北海)
ポジション:投手
身長体重・投打:186cm・80㎏・右投左打
評価:A
おすすめ球団:日本ハム

 今大会最も評価を上げた投手。大型ながらバランスが良く、140キロ台後半の角度のあるストレートは迫力抜群だ。速いだけでなく身のこなしも軽く、バント処理や牽制でもセンスの高さを見せた。投球術など実戦面では課題が残るものの、スケールの大きさは今大会の3年生投手では間違いなくナンバーワンだ。地元であり、上沢直之や石川直也などの高卒の大型右腕を早くから戦力化した日本ハムが本人にとっても良い環境ではないだろうか。

■清水達也(花咲徳栄)
ポジション:投手
身長体重・投打:182cm・83㎏・右投右打
評価:B
おすすめ球団:広島

 145キロを超えるストレートを武器にリリーフとして活躍を見せた。少しステップが狭く、倒れ込むような独特のフォーム。ヒジの使い方に柔らかさがないのは気になるが、リリースの感覚は良くしっかりボールを抑え込むことができている。カットボールのキレも一級品だ。プロでも現在と同じくリリーフに適性があるように見える。中崎翔太、中田廉などの似たタイプの高卒リリーフ右腕が育っており、高校の1学年先輩である高橋昂也も在籍している広島が環境的にもマッチしそうだ。

■皆川喬涼(前橋育英)
ポジション:投手
身長体重・投打:178cm・79㎏・右投右打
評価:B
おすすめ球団:巨人

 バランスの良いフォームから投げ込む140キロ台後半のストレートは威力十分。変化球のキレ、精度には課題が多いものの、ストレートだけで高い評価を与えられる。正統派の本格派右腕を好む巨人はぴったり当てはまる球団と言えるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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