2017年の国公立大学前期日程学部系統別志願状況
2017年の国公立大学前期日程学部系統別志願状況
国公立大学の志願者数・志願倍率の推移
国公立大学の志願者数・志願倍率の推移

 2018年度の大学入試では、国公立大で推薦入試やAO入試の合格者枠が拡大し、逆に一般入試は厳しくなる見込みだという。大学受験のプロ3人に、18年度の国公立大学入試を予想してもらった。発売中のAERAムック「就職力で選ぶ大学2018」(朝日新聞出版刊)より、抜粋してお届けする。

【グラフ】国公立大の倍率はこう変わってきた

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石原賢一・駿台教育研究所進学情報事業部長(以下、石原):2020年度から新しい大学入学共通テストが導入される予定ですが、18年度入試には直接的な影響はありません。ただ、国公立大でも、英語4技能を判定する「外部検定試験」を特別選抜の出願資格にする大学があります。まだ数は少ないですが、英語に自信があるなら、これを利用したほうがいいですよね。

富沢弘和・河合塾教育コンテンツ本部教育情報部長(以下、富沢):新テストの背景となっている「高大接続改革」では、受験生の多面的評価という動きも出ています。たとえば推薦・AO入試枠の拡大。さらに一般入試で、面接やグループディスカッションを実施する国公立大もあります。

渡邉慧信・ベネッセコーポレーション初等中等教育事業本部情報企画課課長(以下、渡邉):入試問題の質も思考・判断・表現力や課題解決力を重視する問題に変わり始めています。また、英語の外部検定試験と一口に言っても内容はさまざまなので、高校で身につけた英語力を生かせる試験がおすすめです。

石原:17年入試では、例年同様に国公立大で全体的に理科系が人気薄で、文系の人気が高かったですね。なかでも経済・経営・商学部系が伸びていました。ただし、後期を廃止する大学も目立つので、18年度は安全志向が強くなるかもしれません。

富沢:18歳人口は減少傾向にありますが、18年だけに限れば1%程度減るだけ。私立大が難化したことで増えた浪人生を合わせれば、受験者の総数は横ばいです。国公立大受験者はそれに比例するので、ほとんど前年並みで推移すると思います。

渡邉:国立大では21年度入試までに「定員の30%を推薦・AO入試枠とする」と示されており、年々その枠が拡大してきました。特に国立大の17年度のAO入試募集人員は前年比123%と増加しています。それでも推薦・AO入試枠は全体の15%を超えた程度ですから、来年度もますます増える見込みです。これは一般入試の定員を削って回すことになるので、逆に一般入試は厳しくなります。特に後期入試を廃止した枠を回す可能性が高いですね。一般入試では、今年のベネッセの模試結果をみると難関大学の志願者数は低調です。東京大学は前年比で94%。京都大学も94%。やや高みを目指す受験生が少ないという印象ですね。

(取材・構成/笠木恵司)