瀬戸和信(せと・かずのぶ)/テクノロジーマーケター。1978年、石川県金沢市出身。NETATMO(ネタトモ)日本代表。デル、日本エイサー、日本オラクル、日本マイクロソフト、フィットビット・ジャパンでシニアマネジメント職を歴任後、現職。マイクロソフトで「2 in 1(Surface)」、エイサーで「ネットブック」という「新しい概念」を日本に定着させ商品をヒットさせた
瀬戸和信(せと・かずのぶ)/テクノロジーマーケター。1978年、石川県金沢市出身。NETATMO(ネタトモ)日本代表。デル、日本エイサー、日本オラクル、日本マイクロソフト、フィットビット・ジャパンでシニアマネジメント職を歴任後、現職。マイクロソフトで「2 in 1(Surface)」、エイサーで「ネットブック」という「新しい概念」を日本に定着させ商品をヒットさせた

 7月24日に「働く、を変える日(テレワーク・デイ)」と題して、全国でテレワークが実施された。「テレワーク・デイ」は、始業から朝10時30分までの時間帯で、情報通信機器等を活用し時間や場所の制約を受けずに仕事をする取り組みで、日本では初めて。参加団体は、NEC、小田急電鉄、静岡市役所、清水建設、セコム、高島屋、トヨタ自動車、博報堂、パナソニック、みずほフィナンシャルグループなど900団体にわたった。果たしてこの日が、日本人の働き方を変える第一歩となったのか。日本マイクロソフト、デル、フィットビットなど外資系企業のマーケッターとして活躍し、『クリエイティブ思考の邪魔リスト』の著者でもあるNETATMO(ネタトモ)日本代表の瀬戸和信氏に、今回のテレワーク・デイ実施で見えた課題について寄稿してもらった。

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 いち早くテレワークを導入した日本マイクロソフトに以前勤めていた私は、テレワークには積極的な賛成派です。現在私が勤めているNETATMO(ネタトモ)でも既に導入しているのですが、今回のような限定的な試みで、どのような問題点が生じるのかを確認するためにも、日本チーム全体でテレワーク・デイに参加してみました。

 意見の相違を歓迎してくれるという前提で正直にお伝えすると、「テレワーク・デイ」という試みはテレワーク自体の可能性をマイナスにしてしまう可能性があります。よって、私個人としては残念ながらこの取り組みから得られるものは何もありませんでした。そもそも日によって業務状況も違うことから、月曜日の朝始業から10時半までという短い時間に限定しても意味がないのです。たとえそれが通勤緩和という目的があったとしてもです。

「始業から10時30分まで」と限られた時間で企業側がテレワークを強要するのではなく、もっと大胆に、1日を自由に裁量できる土台環境を従業員に与えることが先決です。そのような土台環境がなければ、変な規則ばかりが増え、人の内部的なモチベーションは低下し、生産性、創造性どころではなくなってしまいます。

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