■お墓を建てない場合も配慮が必要

残された人たちの後々の負担を考え、思い切ってお墓をもたないという選択肢もあります。実際、交通アクセスのいい永代供養墓や納骨堂は、都会を中心に人気を集めています。

また、後の心配がない散骨を希望する人も増えています。しかし、散骨するとお墓のように手を合わせる対象がなくなり、残された遺族の心のよりどころや、家族のつながりが失われるという不安もあります。

そのあたりを考慮し、お骨の一部をネックレスなど別の形に変えて身につけたり、保管したりする「手元供養」という方法も注目されています。以上のように、さまざまな形態や方法を選べる時代です。家族で納得のいくまで話し合い、自分たちに合ったお墓の形を見つけましょう。

なお、故郷にお墓があってもそこに入らない選択をした場合、現在のお墓を「墓じまい」「改葬」する方法もあります。所定の手続きが必要になるので、早めに確認しておきましょう。

●日本葬祭アカデミー教務研究室代表・葬祭カウンセラー
二村祐輔(ふたむら・ゆうすけ)
葬儀コンサルティング、講演活動などを展開。テレビでも活躍。葬儀社に約18年間勤務し、2000件以上の葬儀にかかわる。『60歳からのエンディングノート入門 わたしの葬儀・法要・相続』(東京堂出版)など著書多数

※週刊朝日ムック『はじめての遺言・葬式・お墓』より