また、以前からセリエAで名フリーキッカーの名をほしいままにしているのがミラレム・ピャニッチだ。とにかく精度が高く、ボールが手前の壁に当たったり、枠外に外れたりするシーンが非常に少ない。直接FKの決定力はもちろん、味方のターゲットマンに合わせる間接的なFKで多くのゴールもアシストしている。

 国際的にあまり知られてはいないが、スペインのセルタで活躍するダニエル・バスにも注目したい。デンマーク代表では同じくFKの名手として知られる司令塔クリスチャン・エリクセンの陰に隠れがちだが、フランスでプレーしていた時に「FKの芸術家」とも呼ばれた右足のキックは美しく、対戦相手は畏怖の念を抱く。

 また、チャルハノールが去ったドイツ・ブンデスリーガにはオーストリア代表のズラトコ・ユヌゾビッチというFKの名手がいる。順回転の鋭く曲がるキックを30メートル前後の距離から放ち、高い位置から落とすキックも得意で、所属するブレーメンの貴重な武器となっている。(文・河治良幸)