月は空気もなく、食料もないから、月に行ったとしても、数日しか滞在できない。しかし、月探査が進んで、月で生活するために必要な施設が建設されれば、50年後には、月で暮らせるかも! 毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された、大阪大学准教授・佐伯和人さんへの月に関する質問と回答を紹介しよう。

■月に水を運んだら1リットル1億円!?

――未来の月はどのようになるの?

『宇宙兄弟』というマンガを読んだことはあるかな? 2025年以降の近未来を描いた、日本人の兄弟が宇宙飛行士を目指すマンガだ。そこでは、主人公たちが月面でバギーを乗り回したり、月面望遠鏡をつくろうとしたりしている。マンガだけど、実際に、世界各国が宇宙を目指していて、アメリカや中国は、有人探査を着々と準備しているから、決して無理な話じゃない。今から50年後、キミたちが生きているうちに、このイラストのような、人類が生活できる月面基地ができていてもおかしくないよ。

――うわあ! 楽しみだなあ! 宇宙で暮らすにはどんなことが必要なの?

 月の資源を有効に利用することだね。月の資源の利用というと、地球に持ち帰って使うことを考えてしまいがちだけれど、実際にはそれは難しいんだ。なぜなら、運ぶための費用がとても高いから。高い山の上にある自動販売機のジュースが高値なのと同じことだ。1リットルの水を宇宙に運ぶには、1億円くらいの経費がかかるんだよ。

――そんなに!?

 だから、月の資源は、月で利用すべきなんだ。月には、人間が生きるために必要なものが不足している。だから、月の資源を有効に利用して、酸素をつくったり、水を採掘したり、食料を調達したりすることが大切だね。

■専門の宇宙飛行士にならなくてもいい

――ぼくも月で暮らしたいんだけど、どうすればいいのかな? 宇宙飛行士になるのは難しそうだし……。

 専門の宇宙飛行士になる必要はないよ。月で生活できるようになれば、地球での生活に必要な職業はすべて、月でも必要になる。だから、キミがどんな職業を選んでも、月で暮らすことは夢じゃないよ。宇宙先生、宇宙農家、宇宙美容師、宇宙パティシエとかね。

――ほんとう!?

 ただし、宇宙環境に合わせた工夫は必要だね。自分の職業で一流になって、工夫する力をつければ、月で暮らせるかもしれないよ。

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AERA dot.編集部
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