一方、ここまで見てきて、前田健太の名前が登場しないことに気づいた人も多いはずだ。8月1日のブレーブス戦に勝って4連勝となり、前田はすでにチーム内3位の10勝に到達した。本来であれば先発の一角を務めるのに十分な働きと言える。ただ、防御率3.79はカーショウ、ウッドにはかなり見劣りし、17先発中でクォリティスタートが4度だけという成績も少々物足りない。

 ダルビッシュという新戦力の加入で先発要員が増え、しかもドジャースは他にも柳賢振、ブランドン・マッカーシー(現在DL 入り)といった実績ある投手を擁している。層の厚いチーム内で、前田がシーズン終盤まで先発の役割を守りきれる保証はない。頭数は4人で足りるプレーオフに関しては、さらなるケガ人でも出ない限り、先発ローテーション落ちが濃厚。もちろんだからといって貢献の手段がないわけではないが、前田の役割、今後の立場は大きく変わり得る。

 ダルビッシュの動向は、このように同国人の後輩メジャーリーガーである前田にも少なからずの影響を及ぼすことになる。様々な意味で、エース級がこの時期に移籍することのインパクトは莫大ということなのだろう。(文・杉浦大介)