古賀茂明「官僚と稲田防衛相に“阿吽の呼吸”が成立しなかった本当のワケ」 (3/5) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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古賀茂明「官僚と稲田防衛相に“阿吽の呼吸”が成立しなかった本当のワケ」

連載「政官財の罪と罰」

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著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。主著『日本中枢の崩壊』『日本中枢の狂謀』(講談社)など。「シナプス 古賀茂明サロン」主催

著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。主著『日本中枢の崩壊』『日本中枢の狂謀』(講談社)など。「シナプス 古賀茂明サロン」主催

 こうした心理はある意味自然だ。この場合、本当の狙いは自らの保身と組織防衛なのだが、大義名分は、「政権への協力」である。

 初動段階で陸幕幹部がどこまで関わっていたかは、今回の報告書では明らかではないが、少なくとも、このような不都合な情報を陸幕幹部が最初から知っていたとしても、おそらく同じ結果になっていたと思われる。次の統幕長への昇格を待つ岡部陸幕長としては、仮に早期に事実関係を把握していたとしても、それを正直に出して、安倍総理の悲願、PKO派遣を止めたとなれば、統幕長への栄転をあきらめなければならないかもしれないという、その懸念に打ち勝つことはできなかったのではないだろうか。

 そして、その後の一連の対応では、関係者が拡大し、内局トップの事務次官まで同じ罪を犯すわけだが、それも全て、自身の保身と組織防衛、そして、それを正当化する内輪での大義名分は「安倍政権への協力」であったと思われる。

●「官僚の作法」で稲田氏へ報告した可能性

 では、2月になって、防衛省幹部が報告した際、稲田氏が日報が陸自に存在していたことを知り、それを隠ぺいするよう指示ないしその黙認をしたのかどうか。今回の監察結果でははっきりしない。

 しかし、報告書の内容を見てその真相を推測することは可能だ。その際、不都合な情報を政治家に報告する際の「官僚の作法」というものを頭に置かなければならない。と言っても、おそらく、これは大きな組織に共通する作法かもしれないが……。

 大臣にとって非常に困ったことになる情報を上げる時に、「大臣大変です。こんなことになってしまいました」というだけでは、「無能」というレッテルを貼られて大バツがつくだろう。こういう時は、必ず、その不都合な事態に対して、大臣が守られるような対応策を同時に提示しながら報告するのが優秀な官僚のやり方である。


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