麗華さん:1、2回は見せたこともあります。はっきりは口に出さないけど、そういうふうに匂わせるというか。「一緒に住んだら楽しそうだね」って言ってみたり。

しぎはら:そうすると相手はどういう反応をした? ここがすごく大事なんですよ。

麗華さん:その時はあんまり考えないようにしちゃったんですけど、はぐらかされたかな、って思ったこともありました。そのあと別れ話になっちゃったりして。結局、私と結婚したくなかったのかあ。あんまり考えたくないんですけど。

しぎはら:でも麗華さん、その現実は受け止めたほうがいいわ。あのね、男の人って、本当にこの人しかいないと思ったら、すごく真剣に気持ちを伝えてくると思うし、女の人から結婚したいってそぶりを示したら、ちゃんと真正面を向いて話し合ってくれると思うのよ。それをなんとな~く斜めを向かれてしまうのは、やっぱり「都合のいい女」に思われていた可能性があるんじゃないかな。つまり、いつだって相手の言いなりになる「都合のいい女」って思われたらダメなのよ。

麗華さん:でも、私としては相手を思うことが“尽くす”ってことだと思ったんです。だから、そこまでしてたのに、なんでダメになったのかわからなかったんですよね。今付き合ってる人は確かに不倫ですけど、優しいし、私が尽くすことに対しても喜んでくれるし、尽くし甲斐があるんです。だから、自分としては満たされてるんです。

しぎはら:でも、そんなに喜んでくれるし、大切にしてくれるのに、なんで奥さんと別れずに今のままを続けているのかな。

麗華さん:それは……、彼にもいろいろ都合があるのかな、と思うんですけど。

しぎはら:麗華さん、今の彼となんとなくの関係を続けていたら、本当に大切な誰かを選べないまま、時だけが過ぎるわよ。あのね、自分がどうしたいかが選べないっていう思考は危険なの。“たった一つ、これしかない”と思って選んだら、これもあれもそれも、とは思えないのよ。

麗華さん:たった一つって難しいですね。私、思い出したんですけど、付き合った彼が好きな女優や芸能人を教えてくれると、なんとなくそれっぽい格好を目指してました。でもそうすると、いろんなタイプの服が出てきちゃって。

しぎはら:だからやっぱり、今のスタンスで洋服を着続けることが、今の別れられない彼との関係に近いんじゃないかしら。服と人間は全然違うようだけど、麗華さんが“選ぶ”という視点は同じだと思うの。だから何も決められないんじゃない?

麗華さん:今までそういうふうに考えてこなかったです。

しぎはら:今回、服を真剣に選ぶということを実感することで、これからの人生に対してもケジメがつくと思うの。しっかりよく考えて選ぶことは、男性の見方だけじゃなくて人生のすべてに関わってくるのよ。

 麗華さんは、頷きながらもまだあまり実感が湧いていないようでした。私は、もう少し具体的に服の選び方について話をすることにしました。

■「なんとなく」選んだ洋服で、願いは叶わない

しぎはら:服の選び方って、実は恋人の選び方とすごく似ているんです。例えば“なんとなくこれでいいや”と思って買った服って、すぐ着なくなったり、なんとなくずーっとあったり。またはなんとなく、ずーっと着ちゃったりするもんでしょう。どうしてもこれじゃなきゃっていう洋服に出会ったことある?

麗華さん:うーん、ないです。そんなに強いこだわりを持って服を買ってないですね。

しぎはら:洋服選びって、自分がどうなりたいか、どう生きたいかにすごく深く関わっているの。今の彼となんとなく続いてるって言ってたけど、私から見ると、麗華さんの服装もなんとなくぼんやりして見える。

麗華さん:何を着ていいか、正直毎日わからないんですよね。おしゃれは好きなはずだし、クローゼットに服もたくさんあるのに、“今日どうしてもこれを着たい”って思う服がないんです。

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