さらに不安なのがリリーフ陣で、昨年、不動のセットアッパーだったジャクソンの不振だ。後半戦最初の登板でも2失点するなど、昨季からの蓄積疲労は深刻のようだ。昨季前半戦は勝利の方程式の一角だったヘーゲンズも、不振で二軍暮らしが続いている。ストッパーは経験豊富な今村猛で現状は問題ないが、セットアッパーの中崎翔太をはじめ、中田廉や一岡竜司など、現在のブルペンを支えている投手が、いずれも故障上がりの選手ということも不安材料と言えそうだ。

 チーム全体で言えば、ホームゲームで31勝11敗と圧倒的な強さを誇るのに対して、ビジターでは23勝19敗2分と、極端に勝率が落ちるのも気になるところだ。さらに独走態勢で追われる存在となり、上位を狙うチームが広島を意識した先発ローテを組んでくる可能性もある。現に7月4日からの巨人との3連戦では、初戦に田口麗斗、2戦目は中4日先発で菅野智之をぶつけられ、最強打線が2試合連続完封負けを喫している。

 現在、2位をうかがうDeNAのアレックス・ラミレス監督のように「上を見るよりも、3位以下のチームにいかに差をつけるかが大事」という監督もいるが、各チームの姿勢次第では苦しい戦いを強いられる可能性もある。対戦成績を見ても、2位阪神と3位DeNAとは7勝7敗と五分の成績で、決して圧倒しているわけではない。

 ここまで連覇へ突き進むチームの死角を探してきたが、どれもこれも重箱の隅をつついている、という感も否めない。事実、オールスター前後の2、3位との直接対決は、いずれも広島の勝ち越しに終わっている。7月7日のヤクルト戦では、5点ビハインドを9回に逆転するなど、神がかり的な強さも健在だ。それでも、昨年はソフトバンク日本ハムに最大11.5ゲーム差を逆転されたように、野球は何が起こるかわからない。今年はすっかり言われなくなってしまったが、広島は96年にメークドラマの“悲劇の主人公”になっている。今年はセ・リーグで熱い優勝争いが見られるのか。今後の展開に注目したい。

(※成績は7月20日現在)