カープの勢いは止まらない?それとも……(c)朝日新聞社
カープの勢いは止まらない?それとも……(c)朝日新聞社

 リーグ連覇を狙う広島が好調だ。オールスター明けの2位阪神との直接対決に勝ち越し、その差は9ゲームにまで広がった。今季は開幕直後から圧倒的な強さを見せる広島に死角はないのか。

 快進撃の原動力となっているのが、チーム打率(.279)、同得点(461)がいずれもリーグトップの打線だ。チーム本塁打(94)、同盗塁(67)も12球団2位で、セ・リーグではダントツで、球史に残る強力打線と言っても過言ではない。田中広輔、菊池涼介、丸佳浩の不動の1、2、3番に、4番には鈴木誠也、5番以降は、相手投手や選手個々の調子に合わせて、新井貴浩、エルドレッド、松山竜平、安部友裕などを使い分け、控えにもシーズン途中で育成から支配下登録されたバティスタなど、多彩な顔ぶれが揃う。

 野手に関しては、その厚い選手層から、故障者が出たとしても、大きく落ち込むことはなさそうだ。ただ「代えのきかない選手」は、もちろん存在する。現在のチームを引っ張っているのが、丸と菊池の同級生コンビだ。この2人のいずれかが長期離脱となると、話は変わってくる。特に菊池は、WBC出場の影響もあり、前半戦は下半身の不安でスタメンを外れる試合もあった。その時期に無理をさせないベンチワークで、現在はかなりコンディションも良化しているようだが、いずれにしても、攻守でチームの柱となっている2人のうち、1人でも欠ければ、チームに与える影響は大きい。

 心配はアクシデントのみ、とも言えそうな野手陣に比べて、投手陣は決して万全とは言えない状況で、死角があるとすればこちらか。黒田博樹の引退で不安視された先発陣は、若手の台頭で前半戦は、ほとんど影響を感じない状態だった。ただ、その顔ぶれを見ると、フルシーズン活躍した経験のある選手は野村祐輔とジョンソンぐらいで、それ以外の投手は実績という点では不安は多い。事実、前半戦で7勝をマークし、オールスターにも出場した岡田明丈が、前半戦最後の3試合で不安定な投球が続き、緒方孝市監督も「(起用法も)考え直さないといけない」とコメントしており、今後は不明瞭な状態だ。

 もう1人、オールスターに出場した薮田和樹は、現在6連勝中と絶好調だが、後半戦も同じように勝てるのかと言われれば、不安も残る。特に先発投手にとって2ケタ勝利の壁は意外に高いものがある。ここをすんなりクリアできるのか、現在8勝だが「あと2勝」に苦しむ可能性は少なくない。左の先発候補として、7月7日にようやく今季初登板を果たした戸田隆矢が5回7失点と背信の投球で即二軍落ちするなど、雨後の筍のように続出していた若手の台頭も、そろそろ打ち止めの感もある。

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