そしてこの際、「相手への期待値」も下げましょう。相手となごやかに打ち解けたいと思うのは当然ですが、高すぎる期待をすると、実際に会ったとき、相手との温度差に「こんなはずでは」と動揺してしまいます。相性だってあるし、相手だって緊張しているかもしれないし、たまたま虫の居どころや体調が悪い日だってあります。思ったほどに話が弾まなくても、相手への期待値を下げておけば「こんなものかな」と必要以上にジタバタしなくて済みます。

 自分をいかに「できる人」に見せようかと頭を悩ませていると緊張します。「いかに相手を心地良くさせるか、なごませるか」と目の前の相手に集中すると、緊張している暇はありません。相手もそれなりに緊張しているのですから、まずは自分を守る鎧を脱ぎましょう。たとえば自分のちょっとした失敗話を先に披露してみる。そうすることで、「ちゃんとした話をしなきゃ!」と緊張している相手の心をほぐし、お互いほっと笑い合えます。

 大切なのは、緊張を丸ごと否定しないこと。たとえ緊張して、失敗した! と自分が思っても、案外相手は気にしていないもの。「ああ、この人も人間なんだな」ぐらいに笑ってくれます。

 さらにもうひとつ。私が本番前によくやるのは、「そばにいるノリの良い誰かをお守りにする」作戦。しょうもないダジャレを言って、ツッコミを入れてもらい、そのリアクションが緊張をほぐしてくれると思い込むのです。

 そもそも緊張は自分でつくり出しているのですから、解除法も自分の思い込みでつくればいいのです。思い込めば、思い込んだ者勝ち。シンプルで無理なくできる「お守り」を自分なりにつくって、味方につけてくださいね。