自分の歯周ポケットの深さを知っていますか?(※写真はイメージ)
自分の歯周ポケットの深さを知っていますか?(※写真はイメージ)

 日本人が歯を失う原因の1位は歯周病。でも「自分にはまだ関係のない話」と思っている人も多いはず。実は、40代に入ると歯周病になるリスクがアップする。週刊朝日ムック「いい歯医者 2017」では、歯周病が発症するメカニズムとセルフケアについて、現役歯科医に尋ねた。

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「最近はテレビCMなどでも、歯周病の怖さをアピールしていますし、適切なケアをしないと歯を失うということは、何となく知っているでしょう。でも、それが自分の口の中の話として結びついていない人が多いのが問題です。たとえば、自分の歯周ポケットの深さを知っている人はどれぐらいいるでしょうか?」

 と話すのは、佐瀬歯科医院院長の佐瀬聡良歯科医師です。歯周ポケットというのは、歯と歯肉との間にある溝のことで、健康な人で1~2ミリ。歯周病菌による炎症が起こると、歯周ポケットはどんどん深くなっていきます。

■50歳を過ぎると歯を失う人が増える

「『むし歯は何本ありますか?』と質問されることはあっても、『深い歯周ポケットはありますか?』と患者さんから聞かれることは、まずありません。自分の歯周ポケットの深さを気にするぐらい、患者さんの意識レベルが上がってくれると、うれしいですね」

 20~30代の若いうちは免疫力も高いので、毎日のブラッシングである程度、歯周病の進行は防げます。「大事なのは40代からのケア」だと佐瀬歯科医師は話します。

「50代に入ると、歯周病やむし歯で歯を失う人が増えてきます。その前段階の40代の時期に、いかにきちんとケアをして進行を抑えられるかが、ポイントになるのです」

 しかし40代は男女ともに働き盛りの年代。人によっては育児や親の介護に時間をとられることなどから、自分のことはついつい後回しにしがちです。

「40代というと会社では中間管理職ぐらいの年齢ですよね。だから仕事のストレスも大きく、その影響で免疫力が低下するなど、歯周病が進行する要因が重なるのです」

 歯周病予防の場合で大事なのは毎日のブラッシングです。しかし歯周ポケットにたまった汚れは自分では落とせないので、歯科医院でクリーニングをしてもらう必要があります。

「歯周ポケットの中に少しでも歯石が残っていると、ブラッシングしたときに血が出てきます。血が出るということは、そこにまだ炎症が残っていて、病気が進行しているということ。歯周病というと歯周ポケットの深さばかり注目されますが、3ミリでも血が出ているなら治療が必要です」

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