四国の企業には、松山大(四国2位)の人脈がしっかりと張りめぐらされている。四国の大学のなかでも群を抜いている。1923(大正12)年設立の松山高等商業学校が起源となり、このころは商人が多く輩出した。戦後は松山商科大として卒業生が四国の産業を担った(1989年に現校名に改称)。なお、中国地方の企業で社長が多い広島修道大(中国4位)も、前身が広島商科大(1960年開校)で、松山大の歴史と似ている。社長が多い理由は、大学の起源から説明できる。

 九州、沖縄の企業では福岡大(九州、沖縄1位)出身者が幅を利かす。九州産業大(同3位)、西南学院大(同4位)、九州大(同8位)を足した数に匹敵する。通販番組で有名なトーカ堂の社長、北義則氏は福岡大体育学部の出身。トーカ堂は福岡県篠栗町を本拠地としている。

 地域の産業を支える企業の社長出身校をみると、その大学が果たしてきた役割の大きさを感じる。地方大学での人材育成は経済発展を考えるうえで大きなポイントになるだろう。

教育ジャーナリスト・小林哲夫