その理由の第一は、松山自身の調子が良いこと。アイルランドオープンでも悪天候の中でナイスショットが随所に見られたが、今週の練習ラウンドでもさまざまな状況からバラエティー豊富なショットを見せ、万全の準備を整えているようだ。また、事前にリンクススタイルのコースでメジャーの「予行練習」ができたことも、これまでにない好材料となる。

 次にライバルたちの動向だ。世界ランクトップのダスティン・ジョンソン(米)は、ザ・メモリアル・トーナメント、全米オープンで予選落ち、同4位のロリー・マキロイ(北アイルランド)も全米オープンから出場4試合で3度も予選通過できず、調子はイマイチ。ジェイソン・デイ(豪)、昨季覇者のヘンリック・ステンソン(スウェーデン)も本調子とはいえず苦戦している。ジョーダン・スピース(米)、セルヒオ・ガルシア(スペイン)は今大会に向けギアを上げてきているが、優勝候補となるビッグネームが軒並み低迷している今は、松山にとってメジャーVの最大のチャンスと言えるだろう。

 この点については、今回の舞台となるロイヤル・バークレールGCで行われた1976年大会で優勝したジョニー・ミラー氏(米)もメディアで言及している。

「ジョンソンもロリーも調子が悪い。メジャーは何が起こるか分からないが、ヒデキが現状ではベストなプレーヤーだ」

 辛口解説で有名なミラー氏が、松山を優勝候補の最右翼に挙げているのだ。

 果たして松山は最終日にクラレットジャグを掲げることはできるのか。日本のゴルフファンにとっては、また寝不足になる週末がやってくる。(文・田村一人)