国連に勤務するオランダ人の友人は、プレゼンの「名手」とよばれています。彼と子育てについて話していると、そうした優れた力を早期から伸ばす秘訣(ひけつ)があることに気付きました。

 子どもが何かを質問してきたときは、すぐに親が答えを言わないで、「君はどう思う?」と子どもに説明させるそうです。また絵を描いたり、工作を見せてきた時も、親が感想を口に出す前に、「それってどこが一番面白いと思う?」と聞いて、まず子どもに自分の言葉で説明させるそうです。

 また、彼は子どもが上手に工作をつくってもすぐに褒めないそうです。親が感想を言ってしまうと、「子どもは次から褒められるようにしか描かなくなってしまう」、というのが理由です。

「自分はどのように考え、工夫した」のかを、子どもが自分に向き合い、言葉で相手に理解させることが大切なのです。

 ここで意識したいポイントは2つあります。

 子どもは褒められないと自信ややる気がなくなることがあるので、親は子どもに対して「大切に思っているんだという実感」を持たせること。たとえ上手ではない作品であっても、「最後まで頑張ってやり遂げたという自信」を持たせることです。

 子どもの自己肯定感の形成に最も悪影響を与えることの一つは、親がその時の感情で子どもの作品などを評価してしまうことでしょう。

 子どもが期待通りのプレゼンテーションができなかったとしても、「何度やったら上手になるの!」「才能がない」などと親がイライラしたり、否定するような言動をとったりすれば、子どもはそれに合わせて自己肯定感を作ってしまうためです。

 日常の子どもとの会話ややり取りの中で、少し工夫を取り入れることで、プレゼン力を発揮するための「自己肯定感」を持たせることから始めましょう。(寄稿/岡田昭人)