日野原重明さん (c)朝日新聞社
日野原重明さん (c)朝日新聞社

 18日に呼吸不全で亡くなった聖路加国際病院名誉院長の日野原重明さん。105歳だった。ベストセラーとなった自著『生きかた上手』をはじめ、これまで多くの言葉を残してきた。医療従事者向けの医療誌「メディカル朝日」では、日野原さんが96歳だった2007年にインタビュー記事を掲載。ボランティア活動に関する事項を中心に、健康とはかくあるべきか、日常診察のヒントなど、幅広く語っていた。

(このインタビュー記事は、2007年11月号「メディカル朝日」に掲載されたものです)

――高齢社会のスーパースターでいらっしゃる。お元気の秘訣は?

日野原: 昨夜寝たのが午前1 時半。今朝は5時半に起きたが、体はなんともない。日中は、会議や講演、取材の予定が詰まっていて、合間を縫って診察に回る。さっきは亡くなられた患者さんを看取ったばかり。こんな感じで今日もまた、夜8時頃まで仕事がある。

 旅行にもよく出かけています。国内の学会や会合のほか、ユニセフの大使をやっているので海外にもよく行く。来週からスペイン、来月は韓国、来春に台湾。そうそう来年の7月には、ブラジル新老人の会を起こすために、ブラジルに出かけることになっています。楽しみです。

 僕の健康法の基本は、睡眠と食事と運動。10年ほど前から、うつ伏せ寝を実行しています。枕を三つ用意して、頭部と、胸と胴の間におき、その上に体ごと乗っかる。そして、もう一つの枕を膝の間にはさむ。こうすると50数えるうちに、もう眠り込んでいる。うつ伏せ寝は、寝付きが良く、睡眠も深いので、毎日4時間くらいの睡眠で大丈夫。しかも、呼吸が腹式になるから肺活量が増える、喘息や痰の多い人は痰が出やすくなるなど、いいことづくめ。ぜひ、皆さんにも勧めたい。

 食事は1日1300キロカロリーと決め、夜だけご飯を食べます。肉を1日おきに80グラムくらいずつ食べる。野菜はお皿いっぱいたっぷりと。米国の実験で明らかにされているんですが、飽食のマウスよりもハングリーなマウスのほうが長生きする。ローカロリーこそ長寿の秘訣というのが、最近のアメリカの知見なんですが、僕はそれをかなり前から実践している。

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