逆にMLBから中日に移籍したアレックス・オチョアも、広いナゴヤドームの外野で強烈な印象を残した。中日に入団予定だったMLBの大物選手が来日を取りやめたことで急遽来日したアレックスだが、米国でも定評があった守備はまさにメジャー級で、深い守備位置からのダイレクト送球で、しばしば走者の進塁を防いだ。当時の中日では、英智の強肩ぶりも光った。プロ初のお立ち台が好返球の本塁封殺という英智は、福留孝介も含めて、最強の外野陣を結成した。

 同時期に活躍した選手では、ヤクルトの飯田哲也の名前も挙げないわけにはいかない。捕手からスタートした飯田だが、古田敦也という絶対的な存在がいたチームで、野村克也監督が外野手として抜擢し、俊足とその捕殺の多さでリーグを代表する外野手となった。地肩の強さや身体能力の高さ以外で、スローイングが速いという意味では高橋由伸(巨人)や廣瀬純(広島)、サブロー(ロッテ)の名前も挙げたい。

 近年では、阪神の糸井嘉男やソフトバンクの柳田悠岐など、アスリート系の選手が、そのレーザービームで観客を沸かせている。最近では珍しい職人肌の外野手としては、オリックスの駿太の強肩も見逃せない。

 そして現在の球界で文字どおり「プロが認める強肩選手」なのが、広島の鈴木誠也だ。某テレビ番組の企画で選手100人中33人が名前を挙げたその強肩ぶりは、意外な数字に表れていた。16年に鈴木が走者を送球で直接アウトにした数は0。その理由は、鈴木の守るライトに打球が飛ぶと走者が進塁を自重する、というもので、逆に見せ場であるレーザービームが見られないという、ある意味残念な状況になっている。