メジャーで現役最年長となった、マーリンズのイチロー(写真:getty Images)
メジャーで現役最年長となった、マーリンズのイチロー(写真:getty Images)

 6月29日にバートロ・コローン(44)がブレーブスから戦力外となり、この時点で10月に44歳を迎えるイチロー(マーリンズ)がメジャーで現役最年長のプレーヤーとなった。10月に43歳となる2位のRA・ディッキー(ブレーブス)を挟み、3位は4月に42歳を迎えた上原浩治(カブス)。生き馬の目を抜くようなメジャーの世界で、2人の日本人選手たちの息の長さは特筆に値する。

 特にイチロー(180.3cm、79.4kg)はメジャーの外野手としては大柄な方ではなく、どちらかと言えば痩身。クラブハウスなどで身体を見ると、極めてほっそりとしていることに改めて驚かされる。そんな選手が、いったいどうやって長持ちするコンディションを保ってきたのか。その秘密について、昨季中、ヤンキース時代の2012〜2013年にチームメートだったカーティス・グランダーソンに尋ねてみたことがある。

 俊足、長打力を兼ね備えたベテラン外野手のグランダーソン。ヤンキースではイチローが右翼か左翼、グランダーソンが主に中堅手として一緒に出場することも多かった。非常に聡明なことで有名で、イチローとも親しい関係を築いたことでも知られている選手である。

「(イチローが)まったくケガをしないことには驚かされた。運動量の多い外野手として多くのゲームをプレーし、しかも彼のプレーはスピード、ランニングゲームが基盤になっている。足、身体全体にとてつもない負担がかかっていることは想像に難くない。通常の選手が彼のように動けば、捻挫、打撲などを頻繁に経験しているだろう。しかし、イチローは故障からは無縁だった。理由としては、自分自身とその身体、プレースタイルをよく知っていることがあげられる。彼は常に自分を理解しており、それこそが的確な準備に繋がっているんだ」

 グランダーソンの言葉の中で、これまでも散々語られてきたイチローの“準備”が改めて強調されている。ケガがなく、長持ちするのは、入念な日々のトレーニングがあればこそ。さらにグランダーソンは、イチローのルーティンが構成されていったプロセスにまで思いを巡らせている。

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