「十亀さんが初回にあれだけインコースを攻めてくれたので、左バッターに『自分たちにも来るんじゃないか』というイメージができたと思います。ソフトバンクはいいバッターばかりなので、インコースに投げないと外の球も見送られる。その辺を徹底してくるチームなので、初回にインコースを行けたことが勝ちにつながったと思います」

 積極的に仕掛けてくるデスパイネや松田宣浩、上林誠知、狙い球を絞れる中村晃や今宮健太、狙いと異なる球が来てもヒットにできる内川聖一など錚々たる打者が居並ぶソフトバンク打線にあって、最大のキーマンは好調を維持する柳田だ。特に初回で回ってくる第1打席にどんな攻め方をするかで、その印象は他の打者にも刻まれる。

 失投が本塁打につながりやすいヤフオクドームだが、内角を厳しく突いてストライクゾーンを広く使うことが楽天バッテリーには不可欠だ。則本、岸ともにインコースで勝負できる球威と制球力を備えており、内角をどれだけ有効活用できるかがカギになる。

 ホームランテラスが設置された2015年以降のヤフオクドームでの成績を見ると、則本は6試合で3勝1敗、防御率2.70、岸は3試合で3勝、防御率2.05と好成績を残している。両右腕ともに同球場でチームを勝利に導くピッチングを見せることはできるか。

 そのうえで最大のポイントになるのが、柳田を迎える第1打席だ。(文・中島大輔)