「一般的に、夜眠っているときは日中より10~20%、血圧が下がります。ところが就寝中に血圧が下がらないタイプの人もいます。血管を道路にたとえると、就寝中もダンプカーが走り続けているようなものなので、血管が傷みやすい。夜間に上の血圧が150mmHg以上ある人は、脳卒中や心臓病を発症する確率が118mmHgの人の4倍という調査結果があるほどです」

 起きているときの血圧は自分でチェックできるが、寝ているときに測るのは難しい。

 自分も職場高血圧や夜間高血圧かもしれない――。そんな不安を抱える人におすすめなのが「24時間血圧計」だ。左手の上腕に腕帯を巻き、記録装置を首からかける。30分ごとに血圧計が自動で血圧を測って記録するため、利用者は何もしなくていい。記録装置をズボンのベルトにつけることもできる。保険が適用されるので、3割負担だと1日600円で利用できる。まずは病院で医師に相談してみるとよい。

 実は、筆者にも思い当たる節があった。

 50代ではあるが、毎年、健康診断を受けてもすべて「異常なし」。今年3月の健診時の血圧は上が110だった。数値だけなら問題はないはず。が、締め切りに追われ、ほぼ徹夜で原稿を書いていると、血圧が高いことがあった。仮面高血圧かもしれない――。

 そこで、筆者も24時間血圧計で測ってみた。

 締め切りが近い原稿を2本抱えていたせいか、全体的に高めだったが、上が200を超えるほど跳ね上がった時間帯があった。うたた寝していたときに本書の編集担当デスクから電話があった17時台と、翌11時に24時間血圧計を装着した状態で撮影していたときだ。カメラマンの指示に従って慣れないモデルを務めていたら、まさかの200超えを記録。楽しく執筆しているときは高くないが、仕事で緊張しているときは、高めに出ていることがあらためてわかった。

 一方、低かったのは、ジムで楽しく運動をしたあと、自宅に戻りリラックスしていた20時前後。上が120くらいだった。

 血圧計を借りた日に血液検査もしたが、すべての値が正常。どこも悪いところがなかっただけに、ストレスが大きく影響しての高血圧のようだ。

 病院での血圧測定では正常値なので降圧薬は飲んでいなかったが、今回の24時間血圧計の測定結果と異常がなかった血液検査の結果を見て、血管を広げる作用と利尿作用があるカルシウム拮抗薬(アムロジピン)と、血圧が高いときにストレスを鎮める精神安定剤を処方された。

 血圧が気になるようであれば、仮面高血圧かどうかもチェックしてほしい。(取材・文/庄村敦子)