よく「一夜づけよりも睡眠をとった方が記憶力は上がる」「質のいい睡眠をとると脳は成長する」と言われます。睡眠のとり方は、頭の良し悪しを左右するといっても過言ではありません。『AERA with Kids』夏号(朝日新聞出版)の「夏休みメリハリ生活術」では、「記憶がより活性化するための睡眠」について紹介しています。

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「睡眠中、脳の記憶をつかさどる部分は、起きているあいだにため込んだ情報を『必要・不必要なものに分ける』『長期・短期の記憶に振り分ける』『記憶を定着させる』と色々な方法で分別します。しかし、ただ眠れば自動的に整理されるのではありません。寝ているあいだによく記憶が整理されるようなちょっとした3つのコツが必要です」

 そう話すのは、これまでに1万人以上の脳画像を分析してきた、脳科学者の加藤俊徳先生です。その3つのコツとは具体的にどのようなものなのでしょうか。

<(1)起きているあいだに時間の感覚を持つ>

「休みだからと言って1日中家の中でダラダラしたり、デスクワークに追われて室内にずっとこもったりしていると、時間の感覚は薄れがち。そういう生活になりやすい人は、朝日や夕日を積極的に見るようにしましょう。とりわけ夕方の空は、時間の変化、季節の変化などが常に表れているものです。そこから感じる時間の感覚は、脳の記憶部分を刺激し、活性化することがわかっています」(加藤先生)

 最近では塾や習い事などに忙しい小学生も多くいますから、親子で夕日を見て、今日1日をじっくり振り返るのもおすすめ。

<(2)日記を書く>

「日記を書くことは、それ自体が脳の記憶力の回路を強くします。その日にあったことやそのときの感情を時系列で思い出していので、脳のいろいろな脳番地(※)に刺激が入り、脳トレにもなる。1日の価値や自己肯定力を高める作業でもあるので、何となく過ごして一日が終わるのではなく、書きとめることを大切にしてほしいですね。面倒ならキーワードを書くだけでも効果がありますよ」(加藤先生)

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AERA dot.編集部
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