楽天の岸孝之(左)とソフトバンクの柳田悠岐(c)朝日新聞社
楽天の岸孝之(左)とソフトバンクの柳田悠岐(c)朝日新聞社

 交流戦に燃えた6月。シーズンの半分を消化したペナントレースを“熱く”沸かせた男は誰か? 6月のパ・リーグ月間MVPを予想したい。

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【パ・リーグ投手部門】
岸孝之(楽天

 パ・リーグ投手部門は非常に混戦だ。先発陣ではバンデンハーク(ソフトバンク)、十亀剣(西武)が3勝を挙げているが、防御率がともに3点台。新人セットアッパーの黒木優太(オリックス)は彼らを上回る4勝を挙げたが、2度の炎上が響いての防御率4.97がマイナス要因になる。そうなると月間防御率1.24(29イニングで自責4)の2人、岸孝之と美馬学(ともに楽天)が浮上する。

 ともに4試合に登板して2勝を挙げており、甲乙つけがたい成績を残していたが、印象度で岸を推したい。今オフに西武からFA加入した右腕は、開幕から安定したピッチングを続け、今季11試合でQS率(6イニング以上を3自責点以内)は100パーセント。6月も4日の中日戦(ナゴヤドーム)の6回2失点、11日の広島戦(koboパーク宮城)での7回2失点の後、18日の阪神戦(甲子園)で8回無失点、25日の日本ハム戦(札幌ドーム)でも8回無失点と投球術が冴えた。特に、阪神戦では1対0という白熱の投手戦の中での無失点投球。奪三振数(岸31、美馬27)も考慮したいところだ。

 岸が受賞すれば、2008年8月、14年5月に続く自身3度目のこと。美馬のほかにも、9試合(計10イニング)に救援登板して1勝0敗6セーブ、防御率0.00の松井裕樹(楽天)も強力なライバルになるが、果たしてどうなるか。首位を走る楽天の3人の争いになりそうだ。

【パ・リーグ打者部門】
柳田悠岐(ソフトバンク)

 パ・リーグ打者部門は、柳田悠岐が大本命だ。23試合に出場し、リーグトップの月間12本塁打&31打点をマーク。打率では、西川遥輝(日本ハム)が打率.349、柳田の打率はロメロ(オリックス)の打率.372、西川遥輝(日本ハム)の打率.368、武田健吾(オリックス).364に次ぐ打率.363でリーグ4位だが、本塁打では2位に4本差、打点でも2位に12打点差を付けている(本塁打2位ロメロ、打点2位はロメロと中田翔/日本ハム)。

 印象度も抜群だ。6月3日のDeNA戦(横浜)で10号ソロ&11号3ランを放ってチームを勝利に導くと、7日のヤクルト戦(ヤフオクドーム)でも2本塁打を放ち、チームの全4打点を一人でマーク。そしてリーグ戦再開初戦となった23日の西武戦(ヤフオクドーム)では第1打席に四球を選んだ後、第2打席でレフトへ3ラン、第3打席でライトへ2ランを放つと、第4打席ではバックスクリーン右へソロと、球団では51年ぶり(南海時代含む)の3打席連続本塁打を放ってみせた。

 惜しくも翌日の第1打席は空振り三振に終わってプロ野球記録の4打席連発に並ぶことはできなかったが、6月は長打率.900と驚異的な数字を残してチームの快進撃に大きく貢献。柳田が月間MVPを受賞すれば、2014年5月、15年8月、同年9月に続く通算4度目になる。本格的な夏を迎えて勢いは増すばかり。交流戦MVPに輝き、オールスターファン投票でも最多得票を集めた男の爆発は、まだまだ続きそうだ。