突発性難聴は原因不明で突発的に起こり、多くは片方の耳が聞こえなくなる病気だ(※イメージ写真)
突発性難聴は原因不明で突発的に起こり、多くは片方の耳が聞こえなくなる病気だ(※イメージ写真)
『新「名医」の最新治療 2015』(週刊朝日ムック)
『新「名医」の最新治療 2015』(週刊朝日ムック)

 KinKi Kids堂本剛(38)が突発性難聴のため入院したと28日、報じられた。突発性難聴は、突然発症する原因不明の難病とされる。発症後、約3週間経つと症状が回復しなくなるといわれており、発症してから早急な治療が必要といわれている。『新「名医」の最新治療2015』(朝日新聞出版)では、突発性難聴の特徴や治療方法について専門医に聞いた。

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 突発性難聴は主に50~60代に多く、患者数も現在増加傾向にある。年間受療者数は2001年の3万5千人から、12年では7万5千人まで増加している。

 突発性難聴は原因不明で突発的に起こり、多くは片方の耳が聞こえなくなる病気だ。耳はからだの外側に近いほうから「外耳」「中耳」「内耳」に分かれる。内耳には、平衡感覚を司る三半規管や、音を感じるカタツムリの形をした蝸牛(かぎゅう)などがある。突発性難聴は、内耳やその奥の神経に問題が起こることで発症すると考えられている。

 難聴研究の第一人者、茅ケ崎中央病院耳鼻咽喉科の喜多村健医師はこう話す。

「突発性難聴は早急に治療することが推奨され、約3週間で症状が回復しなくなると言われています。ただし、早急に治療したからといって、全ての人が完治するわけではありません。割合としては、完治する人が全体の約40%、何らかの改善を示す人が約40%で、残りの約20%は改善がみられないと言われています」

 突発性難聴の病気の概念が確立されてから既に半世紀も経過しているが、いまだに原因はわかっていまない。

 また、突発性難聴と診断されている中には、他の病気が紛れ込んでいる可能性があることに注意が必要だ。そのため、診察では聴力検査以外に平衡感覚の検査や鑑別診断をしてくれる耳鼻咽喉科を選ぶことが大切といえる。

「治療方法においても現状では特効薬がありません。一般的に効果が期待されるものとして、ステロイドが多くの患者に使われます。ただ、ステロイド治療の場合は血糖値を上げる作用があり、糖尿病などの持病を持つ場合は注意が必要です。それ以外の治療では循環改善薬やビタミン剤、高気圧酸素療法、ステロイド鼓室内注入などもあります。また、重度の難聴の場合はからだの安静が必要なため、入院をお勧めしています」(喜多村医師)

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