依存症防止対策としての入場規制(本人・家族申告による利用制限措置・入場料)、広告・勧誘の制限、いわゆるコンプリメンタリーの規制、与信制限、マネーロンダリングに関する規制として、チップの規制、取引時確認等の義務付け、青少年対策の規制など、数え切れない規制が入るが、これらは、全て安倍政権と官僚たちが決めていく。

 どれだけ大きな利権になるか、想像すらできないくらいだ。

 これらの規制を総合的に誰が管理するのか、そして、何よりも、事業者から徴収する納付金を誰が管理し、何のために使うのかという巨大利権もある。

 これこそ、政治家たちが、カジノ導入に必死になる理由なのだ。

■都議選のテーマにカジノを

 これだけ重要な問題を抱えているカジノを東京につくるのかどうか。今はほとんど議論されていないが、今からでも遅くはない。

 都議選の候補者にはその立場を明確にしてもらおう。

 その際、あいまいな態度で逃げようとする候補者が多いだろうが、そういう人は、カジノに賛成だと考えた方がいい。政治家は選挙さえ終わってしまえば、自分の利益のために動くものだ。

 候補者が、公の場で「カジノは未来永劫つくらせない」と言えるかどうか。マスメディアには、特に、小池都知事に対して、その点をはっきりと問いただし、その答えを正確に報道してほしい。もし、「いろいろな課題があるので、慎重に考えています」とか、「現時点ではつくることは考えていない」などという答えが返ってきたら、東京にカジノができることは間違いないと考えた方がいいだろう。(文/古賀茂明

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古賀茂明

古賀茂明

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など

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