日ハムの石川直也(左)と広島の西川龍馬(c)朝日新聞社
日ハムの石川直也(左)と広島の西川龍馬(c)朝日新聞社

 交流戦も終わり、そろそろシーズンの折り返し地点を迎える今年のペナントレース。ルーキーの中にも既にチームに欠かせない存在となっている選手も少なくない。

 投手であればチームの勝ち頭となっている浜口遥大(DeNA)、セットアッパーを担う黒木優太(オリックス)、森原康平(楽天)などが代表格。野手では源田壮亮(西武)、京田陽太(中日)の二人が完全にショートのレギュラーに定着している。新人王は彼らが有力候補であることは間違いないが、ルーキー以外にも新人王の資格を持ちながらブレイクしつつある選手は数多く存在している。今回はそんな『隠れ新人王候補』について紹介する。 
 
 まず新人王の資格だが、投手は通算投球回数が30回以下、野手は通算打席数が60打席以下で、海外でのプロ経験がなく、初めて支配下登録されてから5年以内の選手と定められている。1950年に制度ができてから今まで124人の選手が受賞しているが、そのうちルーキー以外の受賞は23人。記者投票で選ばれるため、どうしてもインパクトの強いルーキーに票が集まりがちだが、昨年のパ・リーグは優勝への貢献度の高さもあって高梨裕稔(日本ハム)が茂木栄五郎(楽天)を抑えて受賞した。このように、入団2年目以降にブレイクした選手にもチャンスは十分にある。 
 
 まず、セ・リーグでは若返りを図る中日の鈴木翔太(4年目)と三ツ間卓也(2年目)の二人の投手の奮闘ぶりが光る。鈴木は2013年のドラフトで松井裕樹の外れながら、1位指名されて入団。高校時代は甲子園出場こそなかったが、下級生の頃からエースとして活躍。2年の夏には優勝候補筆頭だった静岡高を2安打1失点に抑え込む快投を見せるなど、高校球界では名の知れた本格派右腕だった。プロ入り後は体の細さと故障に苦しみ、昨年オフには野球協約の限度額である25%の年俸減での契約更改となるなど伸び悩むシーズンが続いていた。しかし、今年は5月からローテーションに定着して既に3勝をマークするなど大きな進化を見せている。

著者プロフィールを見る
西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

西尾典文の記事一覧はこちら
次のページ