こんな無駄な会議に悩まされている方にお勧めしたいのが、「隠れファシリテーション」です。ファシリテーションとは、「促進する」「容易にする」というのが原意です。会議の進行を舵取りするのに必要な技であり、普通は議長(ファシリテーター)が習得すべきスキルとされてきました。それを、参加者でありながら、こっそりやってしまおうというのが、隠れファシリテーションです。

 たとえば、話が混線してきたら、「スミマセン。今、何を議論されているのですか?」とさりげなく論点に注意を向けさせる。結論があいまいだったら、「結局、何が決まったのでしたっけ?」とすっとぼけて質問をして、確認を求める。要は、会議の中身(コンテンツ:内容、意見、アイデア、結論)ではなく、進め方(プロセス:論点、流れ、討議方法、関係づくり)に対して働きかけをするのです。初心者、若手など、立場が弱い人のほうがやりやすく、人前が苦手な人でも無理をせずにできます。

 隠れファシリテーションをするのに小難しい理屈はいりません。会議のツッコミどころと、そのときに使うフレーズを覚えればよいだけ。一つ二つ気に入ったものを使ってみるだけでも、見違えるほど会議が変わります。ほんの少しの勇気が、会議の時間を短くするばかりか、業務の生産性やチームの関係性もアップしてくれます。これこそ、最も取り組みやすく、成果が出やすい働き方改革です。隠れファシリテーションを使って、働きがいのある職場づくりに一歩踏み出しましょう。